作品情報
ソーシャルディスタンスとマスク着用が終わらない感染拡大下の日本。高校生になった女子高生の瑞穂は、文化祭中止が発表されたその日、突然、念動力が舞い降りたことから、刺激のない日常がサスペンスと恋に満ちた非日常に変わってゆく。テレパスの才能を持った同じクラスの環、瞬間移動を使いこなすあかね、ネット世界を自在に飛び回るケイも集まり、4人の少女は新しい友情を育んでゆく。しかし、瑞穂の元家庭教師の祐介が超能力に目を付けたことから、4人は暴走。大都市・東京を舞台にしたサイキックバトルが始まる。
『メイヘムガールズ』レビュー

マスクも外せない、そんなもやもやした生活をおくる青春真っ盛りの女子高生たちが、突然サイキック能力に目覚めたぜ!っていう漫画的な物語。できれば漫画やアニメで留めてもらいたかった。
青春を謳歌できないこと、コロナへのもやもや感が、彼女たちはヒーローにもヴィランにもなり得るということを描いていて、能力に目覚めたティーンの行く末を描くという点では、ジョシュ・トランク監督作『クロニクル』に似ている部分も多い。
それに加えて、女子高生限定というのは、画的なおもしろさはあるし、主演の吉田美月喜の目力には魅了されるものの、痛いほどに実感させられるのが、日本のVFX技術の低さだ。
肝心のサイキックバトル、空中戦のクオリティが観ていられないレベルで、仮面ライダーや戦隊ヒーローであっても、もうちょっとマシなVFXを使用している。専門学校で学んだ素人に毛が生えたような人が合成させたかのようなシーンの連続は、正直言って観ていられない。
近年、アメコミ映画への変な憧れがあるのか、今作も含め『ファーストミッション』や『サイキッカーZ』などのよに、日本の低予算映画において、能力バトルが描かれるものが一定数制作されているし、ビデオ映画全盛期のクオリティや匂いがあるというように忖度すればノスタルジー的な楽しみができなくもないが、量産されるとさすがに辛い。
もちろん今作はビッグバジェットな超大作ではない。正真正銘の低予算映画ではあるが、そもそもな理由として、それだったら制作しないという選択肢はなかったのだろうか……。
例えばSFを描こうとしても宇宙船やクリーチャーを製作する予算がないから断念するしかないのと同じで、作りたくても作れるものはあるのだから、環境を受け入れて「無理だっ!」と断念するのも大事なこと。
この手の作品をストーリーで補おうとするには、相当の脚本力が必要になってくるわけだから、逆にハードルが高いぞ!!
点数 75

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