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この映画語らせて!ズバッと評論!!(先取り版)『キングメーカー 大統領を作った男』キム・デジュンを陰で支えた男がいた……。

この映画語らせて!ズバッと評論!!(先取り版)『キングメーカー 大統領を作った男』キム・デジュンを陰で支えた男がいた……。

作品情報

きにわたる独裁政権の打倒を目指す政治家キム・ウンボム(ソル・ギョング)と、その理想に共鳴した影のブレーン、ソ・チャンデ(イ・ソンギュン)。 現職大統領率いる与党と比べてカネもなければ人脈もない。ないないづくしのウンボム陣営のために、チャンデは誰も思いつかなかった大胆な戦略に打って出る。それはネガティブキャンペーンから詐欺まがいの贈賄工作まで、勝つためにはどんな手段も辞さない汚いやり口。強大すぎる敵を倒すためには毒をもって毒を制するしかない。チャンデの覚悟はある爆破事件を引き起こし、ウンボムとチャンデの共闘関係にも最大のピンチが訪れる――。

『キングメーカー 大統領を作った男』レビュー

第15代韓国大統領キム・デジュンと、陰で支えた選挙参謀オム・チャンノクをモデルとした実話ベースのポリティカル・スリラー。

作中では実名ではなく、ウンボムとチャンデというように架空の名前にされているが、誰がどう見たってキム・デジュンとオム・チャンノクの物語である。

ウンボムは理想主義者的な一面があり、チャンデもそこに惚れ込んで、韓国の未来を重ねて見たからこそ近づいたのだが、どんな素晴らしい政策と理念があっても、選挙に勝たなければ、表舞台に立てなければ、ただの戯言にすぎない。

野心も行動力もあるチャンデは、ウンボムを助けるつもりで、必死に一票を得るよりも、相手を邪魔して十票を奪うという道理に反したような卑怯な手を使い、票をどんどん奪っていく。

圧倒的な資金力も圧力もある共和党に正当な方法で対抗するのは、資金的にも物理的にも無理だったのだ。

そこからは『俺たちスーパー・ポリティシャン めざせ下院議員!』や『スイング・ステート』などでも描かれているように、アメリカの選挙における相手を貶し合い、餌をちらつかせ意見を変えさせるネガティブキャンペーンの先を行っていたようでもある。

キム・デジュンの対抗馬といえば、相手はイ・ビョンホン主演の『KCIA 南山の部長たち』でも描かれていた パク・チョンヒということで、民主主義など存在しない、軍事独裁政権下。

選挙チームも卑怯な手だろうが、現状から脱したいという者ばかりで、やり方は褒められたものではないが、互いに認め合い絆も生まれてくる。

理想論を掲げていたウンボムも、それだけでは選挙に勝てないと思いはじめ、知ってはいながら黙認するような関係性が築かれていった。

誰もが韓国の明るい未来を夢見ていたからだが、いつしか選挙に勝つことだけが全てになってしまい、そこに国民は不在。

互いの役割を黙認していたと思っていたウンボムも我に返り、チャンデを突き放そうとするとき、政治的な駆け引き以前の、修正が難しい人間同士の関係性のもつれによって、全てが崩れ去っていく。

点数 83

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