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THE映画紹介:『KCIA 南山の部長たち』飼い犬に手を噛まれるのは、飼い主にも原因がある!!

THE映画紹介:『KCIA 南山の部長たち』飼い犬に手を噛まれるのは、飼い主にも原因がある!!

イントロダクション

軍事クーデターで政権を握り、独裁者と批判されるほど絶大な権勢を振るったパク・チョンヒ(朴正煕)大統領。そんな彼が、自らの側近であった中央情報部部長キム・ジェギュ(金載圭)に殺害されたというニュースは、韓国のみならず世界中に衝撃を与えた。権力闘争の果ての凶行か、はたまた独裁政治の横暴に対する義憤に駆られたためか。日韓両国でベストセラーとなったノンフィクションを原作に、本作はあくまで「実話を基にしたフィクションである」としながらも歴史の闇に肉薄してゆく。主演を努めたのは人気・実力ともに韓国を代表するトップスター、イ・ビョンホン。愛国心と大統領への崇拝そして静かに燃える野心との間で葛藤するキム部長を、キャリア最高とも言える演技で圧倒的説得力をもって体現する。共演には『工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男』でその年の賞レースを席巻したイ・ソンミン、大ヒット作『哭声/コクソン』のクァク・ドウォン、更には『1987、ある戦いの真実』のイ・ヒジュン、『ザ・キング』キム・ソジンら豪華演技派キャストが集結。本国では2020年公開作品の興行収入第1位の成績を記録(10月1日現在)、百想芸術大賞主演男優賞(イ・ビョンホン)を受賞するなど観客批評家双方から絶大な支持を受けている。(公式HPより)

ストーリー

1979年10月26日、大韓民国大統領直属の諜報機関である中央情報部(通称:KCIA)部長キム・ギュピョンが大統領を射殺した。大統領に次ぐ強大な権力と情報を握っていたとも言われるKCIAのトップがなぜ?さかのぼること40日前、KCIA元部長パク・ヨンガクが亡命先であるアメリカの下院議会聴聞会で韓国大統領の腐敗を告発する証言を行った。更には回顧録を執筆中だともいう。激怒した大統領に事態の収拾を命じられたキム部長は、アメリカに渡り、かつての友人でもある裏切り者ヨンガクに接触する。それが、やがて自らの運命をも狂わせる哀しき暗闘の幕開けとも知らず……

スタッフ・キャスト

監督 : ウ・ミンホ『インサイダーズ/内部者たち』『スパイな奴ら』

脚本 : ウ・ミンホ 『インサイダーズ/内部者たち』『スパイな奴ら』

イ・ジミン

出演 : イ・ビョンホン『甘い人生』『白頭山大噴火

クァク・ドウォンスティール・レイン』『アシュラ』

イ・ソンミン『SP 国家情報局:Mr.ZOO』『権力に告ぐ』

イ・ヒジュン 『オ!ムニ』『火車』

キム・ソジン

クレジット

製作 : キム・ウォンクク

カン・サラ

製作総指揮 : キム・ドス

ファン・スンイル

撮影: コ・ラクソン

音楽 : チョン・ヨンウク

編集: チョン・ジウン

2020年/韓国/カラー/114分

短評

韓国政治の歴史を描いたノンフィクションを原作とした作品ということもあって、ある程度のリテラシーが必要になってくる作品ではあるし、キャラクターの心情や時代背景は、全く無知の状態で観るにはハードルが高いかもしれない。

しかし、忠実を誓った、生涯の同志と悟った相手が、自分の目の前で間違った方向に向かおうとしている。一番近くにいる男が、そんな変化を肌で感じながら、忠実を誓っているのだから、それも自分の使命と受け入れて、間違っていると思いつつも付いていくのか、もしくは国のために、自らの手で軌道修正を行うべきなのか……

そんな緊張感が常に漂う作品になっており、単純に極限の状況下における、ある男の決断を観るというだけでも、かなり見応えのある作品になっている。

イ・ビョンホンは、見事なまでの演技力で、自分を出さない、あくまで自分は忠実なる犬だと言わんばかりに、自分に言い聞かせながらも、黙っていらりない…….という心の葛藤、そして一線を越えてしまう緊迫感というのを目だけで表現している。

怒りゲージがMAXになってしまった先の展開は、サム・ペキンパーの『わらの犬』にも通じる部分がある。

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