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この映画語らせて!ズバッと評論!!『L.A.コールドケース』ジョニー・デップの渋さが際立つ実話ベースのサスペンス!!

この映画語らせて!ズバッと評論!!『L.A.コールドケース』ジョニー・デップの渋さが際立つ実話ベースのサスペンス!!

作品情報

ロサンゼルス市警の元刑事ラッセル・プール(ジョニー・デップ)は、彼にとって最大の事件、90年代の伝説的なヒップホップラッパー、2パックとノトーリアス・B.I.G.の殺人事件を解決出来ずにいた。事件発生から18年経ってもなお犯人は特定されず、謎に満ちていた。一方、独自に事件を追うジャーナリスト、ジャック・ジャクソン(フォレスト・ウィテカー)は、なぜラッセルがこの事件に執着しているのか、そこから捜査が進まない原因を突き止めようとする。さらに、プールはノトーリアスの事件に警察官たちの関与を疑い捜査を深めていく。そして、プールとジャクソンは複雑に絡む事件の真相に迫るが……

『L.A.コールドケース』レビュー

ジョニー・デップといえば、先日逆転勝訴を勝ち取ったアンバー・ハードとの泥沼裁判が連日のように報道されていたが、その影響というのは、多方面に飛び火している。

『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』での降板は有名な話だが、『MINAMATA -ミナマタ-』も公開を妨害されるような事態に発展した。今作にいたっても制作されたのは2018年だというのに、公開までに4年もかかってしまったのだ。

ジョニー・デップはインタビュー等で、公開が遅くなったのは、警察サイドからの圧力があったのではないか~と言っているが、それも無いとは言い切れないが、大きな理由は裁判の問題である。

現在も未解決事件として知られる、2パックとノトーリアス・B.I.G.の殺人事件を担当した実在の刑事ラッセル・プールの証言を元に、当時ローリングストーン誌の社内ライターとして事件を調べていたランドール・サリヴァンによって書かれたノンフィクション小説の映画化。

ランドールは登場しない代わりに、フォレスト・ウィテカー演じるジャック・ジャクソンが ランドールの役割を果たしている。

黒人差別やギャングの抗争など、様々な要素が絡み合い、あやふやに処理したかった警察側からの圧力もかかり、捜査ができなくなっていくラッセルの居場所の無さが、皮肉にもジョニー・デップの裁判期間中の扱われ方にも通じる部分があるのは、なんだか悲しい気持ちにさせられる。

とはいえデップは、『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』や『チャーリーとチョコレート工場』などのアイコン的キャラクターとして存在感を放つだけではなく、もともとは演技派、カメレオン俳優といわれてきただけのことはあって、今作では渋い演技でデップの役者としての実力が試されているようなものとなっているのだ。

『ハード・クライム』『リンカーン弁護士』のブラッド・ファーマン作品だけに、エンターテイメント色よりも渋さが際立つような作風、悪く言えば地味になることは、わかっていたことだが、そこにデップの渋い演技が見事に映える。

地味とはいっても、扱っているのが、非常に難解な2パックとノトーリアス・B.I.G. 、そしてその周りの関係者やレコード会社、裏社会との繋がりなどが密接に絡み合っている事件。もともと事件のことを知っているし、ある程度の事情を知っているという人であればいいだろうが、全く事件に関して知識がない場合は、油断すると取り残されてしまうだけに、ある程度の下調べが必要な作品かもしれない。

点数 79

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