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この映画語らせて!ズバッと評論!!『極主夫道 ザ・シネマ』コテコテのギャグもここまで突き抜けてくると、もはや評価するしかない!!

この映画語らせて!ズバッと評論!!『極主夫道 ザ・シネマ』コテコテのギャグもここまで突き抜けてくると、もはや評価するしかない!!

作品情報

かつて“不死身の龍”と恐れられた伝説の極道・龍は美久との結婚を機に足を洗い、最強の専業主夫として血のつながらない娘・向日葵と3人で穏やかに暮らしていた。そんなある日、街に近藤率いる極悪地上げ屋が現れる。彼らが狙うのは、白石が園長を務める「かりゅう保育園」の土地。近藤の手下による執拗な嫌がらせは続き、龍は元舎弟の雅と用心棒を買って出るが、近藤たちの行動はエスカレートしていく。龍は抗争を終わらせるため、すべてにケリをつけるために“史上最大の夏祭り”を開幕する……

『極主夫道 ザ・シネマ』レビュー

人気漫画が原作で、2020年に放送されていたドラマシリーズの劇場版。設定やキャラクター同士の関係性は、テレビシリーズと直結してはいるものの、最悪観ていなかったとしてもひとつの作品となっているし、新キャラクターを中心に物語が展開されていくため、変に総集編的なものにもなっていないのが良かった。

見た目は怖いが中身は心の優しい専業主婦という、強面キャラによるコテコテのギャップギャグの連続であるし、ヤクザのビジュアルがステレオタイプ全開。いつまで同じパターンの笑いを追求しようとするのかとも思うかもしれないが、ここまで突き抜けて、また恥ずかしさも感じさせない、堂々たる姿勢には感動すらおぼえてしまう。

また同様に、勘違いが勘違いをよび、ドタバタ展開に導くという、ギャグマンガの王道のような展開も、ここまで突き抜けてくると、見事としか言いようがない。

『すばらしき世界』『ヤクザと家族 The Family』のようなリアル路線のヤクザ映画を観ていてもわかる通り、現代においては反社という存在は、非常に肩身が狭い。今作はステレオタイプを追及していることで、リアル路線としては全く違う方向には向かっているものの、元ヤクザの主人公が主夫になっていることや、親分がスーパーで警備員のバイトをしていることなど、反社の肩身の狭さをコテコテのギャグとしてではあるし、偶然なのかもしれないが、何気に表現できている点においては、リアル路線のヤクザ映画に共通するテーマ性が全く感じられないとも言い切れない。

吉田鋼太郎はいつものように変なテンションの演技をしているが、同じく新キャラクターを演じる松本まりかと安達祐実が、これまたコテコテなギャグ要素をもったキャラクターではあるが、いい味を出してくれいる。

ドラマ版に続き、本作にも続投の野生爆弾・くっきー!のシーンは、アドリブが多く、俳優たちが必死に笑いをこらえている表情が何気におもしろく、福田組の佐藤二朗的ポジションを思わせるだけに、福田組作品への意識は少なからず伝わってくるというもの。

くせ者キャラたちのコテコテのドタバタ劇と言うと、なんだか悪口に聞こえてしまいそうだが、決してそんなことはなくて、そのコテコテ加減を上手く扱っているし、その中で恥ずかしさを感じさせない(全くとは言えないが……)のは流石だといえるだろう。

点数 80

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