作品情報
アディスン・レイとタナー・ブキャナン主演、1999年の人気ティーンムービーの名作『シーズ・オール・ザット』を現代アレンジで新たに映像化した『ヒーズ・オール・ザット』。インフルエンサー (アディスン・レイ) が学校一サエない男子生徒 (タナー・ブキャナン) をプロムキングに変身させるという賭けに挑戦する。
『ヒーズ・オール・ザット』レビュー
ついに長年の続編・リメイク企画を経て、1999年の映画『シーズ・オール・ザット』の男女逆転リメイク版『ヒーズ・オール・ザット』がNetflixで配信となった。
オリジナル版の主演レイチェル・リー・クックが別の役で出演し、学校の校長役としてマシュー・リラードが登場するが、こちらも別の役…
『シーズ・オール・ザット』は2000年代の若手にとっては、『アメリカン・パイ』と並ぶ登竜門的な映画としての役割も果たしていて、ポール・ウォーカーやクレア・デュヴァル、アンナ・パキン、歌手のアッシャーやリル・キムなどが出演していたことでも知られている。
言い方が悪いかもしれないが、出演NGレベルの大物俳優になった人が亡くなったポール・ウォーカーぐらいということもあって、もう少しゲスト出演してほしいところだった。
正直、オリジナルキャストの配役の少なさとしては、少し不満が残る。
オリジナル版の脚本家ロバート・イスコブが引き続き脚本を手掛けているものの、コンプライアンス的な理由もあるかもしれないか、当時の男性至上主義的な発言が時代的に難しいことから、男女逆転設定にされたというのもあるかもしれないが、監督のマーク・ウォーターズは『ミーンガールズ』『フォーチュン・クッキー』といった、女性の目線が高い作品を製作してきているだけに、監督の作家性も反映されているのかもしれない
昔からライトな題材でもあった、ティーン・コメディも最近では、どちらか一方にパワーバランスを傾けることも問題があって、実は年々難しくなる中で、中立的なバランスを保っているし、LGBTなどマイノリティについても、少し描き方が慎重である中で、絶妙なバランスで構築されている王道ラブコメだ。
女性側の主人公を務めたアディスン・レイは、本格的な女優業は今回が初めてとなっているが、安定感のある演技で新人とはとても思えないが、TikTokの中で絶大な人気を誇っており、劇中でもTikTokの存在が大きく関わっていることからも、本人とリンクする部分もあるし、現代のSNSがあたり前となった、いわゆるZ世代は、人から見られる意識が強いことからも、実は普段から演技をしているような生活となっていて、逆に自然体こそが演技のようにも感じられるのかもしれない。
物語は王道だし、軸となる部分はオリジナル版と同じだったりするものの、現代の10代の文化を作品にアップデートすることで、ここまで違うものになるということから、その時代、時代に合ったバイブル的なラブコメというのは必要であるし、劇場公開がなかなかできない風潮で存在が薄れがちになっているティーン・ムービーの必要性を再確認できた。
王道といっても、2000年代以降のティーンムービーの基礎の部分に、『シーズ・オール・ザット』の存在があることから、その王道を作ったのも『シーズ・オール・ザット』なのだ。
『シーズ・オール・ザット』の中で印象的であったのは、日本のバラエティ番組などでも、今でも多様されているシックスペンス・ノン・ザ・リッチャーの曲「キス・ミー」だが、今回も印象的に映画を彩っていて、全く古さを感じないし、新バージョンも聴くことができる。
点数 84
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