作品情報
爆弾処理班に所属するフォンは、数々の事件を解決してきたエースだったが、爆発に巻き込まれ左足を失ってしまう。恋人や同僚の助けもあり、義足とは思えないほど身体機能が回復するが、上層部はフォンの現場復帰を認めなかった。仕事一筋で生きて来たフォンは自暴自棄になり、警察を辞めて姿をくらませる。そのフォンが、テロ組織「復生会」によるホテル爆破事件の現場で、重体の状態で発見される。容疑者として病院に収容されたフォンは尋問を受けるが、爆発の影響で過去の記憶を失っていた。そこに、フォンを救い出すべく復生会が乗り込んでくる。「なぜテロ組織が俺を助けるのか―?」フォンは病院から抜け出しひとりで逃亡するが―。
『 バーニング・ダウン 爆発都市 』レビュー
2017年の映画『SHOCK WAVE ショック ウェイブ 爆弾処理班』の続編ではあるが、設定等は引き継いでいない、全くの別物。
今回は少し心理スリラー色も加わっていく。爆弾テロ組織にゲリラ潜入捜査をしていた主人公のフォンが、爆発によって記憶喪失になったことで、自分がいったい何者なのか、正義なのか悪なのか……といった、問題を抱えていた人が記憶喪失になって、消えた記憶を観客が一緒に追っていくことで真実にたどり着くという、いわゆる記憶喪失ものとしては定番のストーリーである。
主人公が潜入捜査を続けるつもりだったのか、それともテロ組織の思想に毒されて、悪に染まってしまったのか、そもそも初めから潜入捜査と言いながらテロに加担するつもりだったのかが、主人公自身も記憶喪失でわからないし、観客もそれがわからない。
明確な答えが提示されないだけに、いくら考えたところで、それは推測に過ぎない。見せられる記憶のフラッシュバックと、現在の主人公の感情が一致していない不安定な感情の中で、着々と爆弾テロは実行されていき、主人公がどういった決断をするのかが、爆弾処理のシーンよりも、圧倒的に緊張感がある。
去年60歳になったアンディ・ラウが、今作では30~40代のようなスタンスで演じているのは、気になるものの、アクションのキレは流石といったところ。
香港仕込みの肉体派アクションというイメージも守りつつ、爆破シーンなどは、そこそこ手が込んでいて、パニック・ムービー色も強くなっていて、冒頭の空港が核爆発するシーンは、かなりショッキングなものに仕上がっている。
「イップ・マン」シリーズではカンフーアクション、『ホワイト・ストーム』ではノワール、『ザ・スリープ・カース』はサイコホラーといったように、ジャンルに縛られないハーマン・ヤウの監督作品だけあって、今回もジャンルに縛られないハイブリッドな作品だといえるだろう。
点数 78
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