作品情報
「事故物件に住み込み、幽霊をカメラに収めるまで帰れない!」という企画の番組に 所属事務所から無理やり参加させられたYoutuberとアイドルの卵。彼女たちを待ち受ける、想像を絶する恐怖と激痛の数々。日本犯罪史上最も凄惨なバラバラ殺人事件の現場だった その伝説のアパートに潜んでいたのは、おぞましき悪霊だけではなかった……。
先取り版とは?
私、映画評論家バフィーがマスコミ試写で、いち早く観て評論する先取り版です。通常回では、公開日もしくは前後に更新していますが、毎週10本以上の新作を観ていて、量が多く大渋滞状態ということもあって、先取りもしていきます。
ダメな作品はダメと言いますが、基本的にネタバレを垂れ流して、映画自体を観なくてもいいような評論はしません。
『真・事故物件/本当に怖い住民たち』レビュー
事故物件といえば、映画的構造を無視したプロットの『事故物件 恐い間取り』という作品があったし、他にも低予算な日本のオカルト系ビデオ作品などでは、頻繁にネタにされてきている。
もちろん今作もタイトルに事故物件とある通り、導入部分としては、そういったものと同じルートを辿っていく。
しかし今作がそれらの作品とは違っている点は、いわゆる「田舎ホラー」にも属しているということだ。『悪魔のいけにえ』『サランドラ』『クライモリ』最近でいえば『ミッドサマー』のように、見知らぬ地に足を踏み入れたときの恐怖が描かれている。
清水崇監督の「村」シリーズも、日本特有の集落や山など人里離れた場所の恐怖もあるかもしれないが、極端に田舎ではなくても、ある町の駅から少し離れたようなボロアパートというのも、事故物件かどうか以前に、独特の雰囲気が醸し出されている。
前の住人が残していったものや、ふすまの汚れ、嫌な物音、変な住人……虫もいれば尚良かったけど、身近にある怖さを感じさせるものが強調されていて、普通に「古い物件怖い!田舎のアパート怖い!」と思ってしまう。
詳しいことはネタバレになってしまうから言えないが、『悪魔のいけにえ』1作目に似ている部分も多く、意識しているのだろう。
儀式のために人間を殺していき、その過程で人間の人体を解体していく。そんなショッキングなシーンも多く、なにしろ佐々木勝己監督の長編デビュー作『星に願いを』は映倫検閲に引っかかったほどということもあって、海外ホラーリスペクトを日本でどう表現しようかの葛藤が伝わってくる。
『片腕マシンガール』『東京残酷警察』のような、海外マーケットに向けた作品ではなく、全体的なプロットは筋が通っていて、あくまで日本向けに作られているという点が逆に表現規制を強めてしまっている感じがしてならない。
さらにラストの演出はタランティーノ的ではある。海外映画リスペクトを国内向けのプロットで表現しようとしているからこその難しさも感じてしまった。本当はもっとやりたいことがあったのだろう……。
個人的には、冒頭のRaMuが「以前、手相見られてましたよね?」って言ったときの島田秀平の真顔も怖かった。
点数 75
2022年2月18日公開
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