作品情報
依存症を克服したが、麻薬を密売しながら生活するズーが異母妹で自閉症のミュージックの後見人になったことから、障害をもつ妹の世話に困惑しながらも近所に住む友人エボを頼りながら、関係を築いていく。ズー役には『NINE』『トラブル・マリッジ カレと私とデュプリーの場合』のケイト・ハドソン、ミュージック役をシーアのミュージックビデオの常連であり、『好きだった君へ: P.S.まだ大好きです』に女優として出演、『Scooby-Doo and Guess Who?』では声優などにも挑戦するダンサーで女優のマディ・ジーグラーが務める。その他にも「プリティ~」シリーズなどゲイリー・マーシャル作品の多くに出演していたヘクター・エリゾンドや『スタスキー&ハッチ』『マー -サイコパスの狂気の地下室-』のジュリエット・ルイスなどの俳優たちが脇を固める。
『ミュージック』レビュー
アカデミー賞の前日に当てつけのように発表されるゴールデンラズベリー賞ことラジー賞を最多受賞してしまった作品ではあるが、基本的にラジー賞というのは、ネタ的な賞ということもあるし、ミュージシャンが関わった映画は受賞しやすいということで餌食になってしまった。
シーアのミュージックビデオではお馴染みのダンサー兼女優でスティーヴン・スピルバーグによってリメイクされる『ウエスト・サイド・ストーリー』にも出演しているマディ・ジーグラーを主演に起用したのだが、実際に障害者ではない自閉症マディが自閉症の少女を演じたことで批判が殺到してしまった。
今までにも障害者ではない俳優が障害者を演じた作品は山ほどが、年々 ポリコレが騒がれる中でミュージシャンが監督したこともあったからだろう、目の敵にされてしまったある意味、可哀そうな作品である。
マディ・ジーグラーもシーアのミュージックビデオのような、はじけきったような演技が、かえって障害者をバカにしているようにも思えたのだろう…
ただ、今ではシーアを映す鏡、分身のような存在であるマディとの仕事は、初映画監督として、シーアにとってもやりやすかったのではないだろうか。
マディと同じく「Elastic Heart」のミュージックビデオに出演しているシャイア・ラブーフもキャスティングされていたが、シャイアのスキャンダルによって、ケイト・ハドソンに変更されることになった。
しかし、結果的にケイ になってよかった部分は多く。『NINE』や『glee』でもミュージカルシーンを経験しているだけに、全身タイツでヘンテコダンスをしていて、一見おかしなシーンでも、それなりにアートに見えてしまうところはケイトの功績のように思える。
いろいろと批判の多い作品であるし、同時にリリースした同名アルバムのプロモーション的側面もふまえた映画ではあるのだが、シーアの独特な色彩感覚から創り出される奇抜な世界観や斬新なファッションセンスが好きな人にとっては、シーアの長編ミュージックビデオとでも思って観れば存分に楽しめる作品であることは間違いない
ゲイリー・マーシャル作品の常連である名優ヘクター・エリゾンドや第93回アカデミー賞では『あの夜、マイアミで』でサム・クックを演じ、助演男優賞にノミネートされたレスリー・オドム・Jrなどが脇を固めていることで、役者たちの演技としても決して最低映画といった作品ではない。
日本公開は今のところ未定…
点数 77
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