作品情報
『ウルトラマン』シリーズやドラクエを題材とした本田翼主演ドラマ『ゆうべはお楽しみでしたね』等で知られる監督・田口清隆が、俳優ワークショップを舞台にSF要素を盛り込みイカれたZ級作品へと仕立てた映画「12人のイカれたワークショップ」。実際に行われた俳優ワークショップをドキュメンタリー的に追った映像をベースとしながら、「日々ロック」「劇場版ファイナルファンタジーXIV光のお父さん」等で脚本を手掛け2020年5月に急逝した脚本家・吹原幸太のワークショップ課題映画脚本のSFホラーパートが重なった二重構造となる意欲作。
『12人のイカれたワークショップ』レビュー
ドラマや映画で見たことあるけど、何で見たのかは思い出せない……そんな絶妙なラインに位置する俳優たち12人によるワークショップ。
明らかにおかしな内容のZ級作品に、どこまで本気になれるのか。どこまで役に没頭できるのか。その様子をドキュメンタリーとしても映し出すことで、役者という仕事の残酷な面が浮き彫りにしていく。
若手をメインにすることで、目の前にいる俳優たちが未来の自分の姿である可能性を突き付けられる。仕事がないわけではないが、俳優業だけでは生活ができず、バイトや仕事を掛け持ちしながらギリギリな生活をしている夢追い人に本当になりたいのか……。見ていられない狂った演技をする先輩俳優たちのようになりたいのか……
そのラインから抜け出せる可能性はあるかもしれないが、はたしてその可能性が自分にあるのだろうか?才能はそもそもあるのだろうか?というように、Z級作品の撮影を通して、俳優たちがそれぞれ自分を見つめ直していく構造はリアルで残酷でしかない。
俳優を目指す人におすすめできないような現実の厳しさが詰まった作品ではあるが、今作を観てもなお俳優を目指す人がいるとしたら、それはメンタル的には俳優に向いているのかもしれないが、同時に人生を無駄にするかもしれないところに飛び込むバカでもある。
つまり俳優は常人には務まらないということだ。
点数 72
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