作品情報
カナダが誇る天才過激映像集団《アストロン6》の一人であり、『パシフィック・リム』『バイオハザードV リトリビューション』に特殊効果としても参加、『マンボーグ』『ザ・ヴォイド 変異世界』の単独監督作を持つスティーヴン・コスタンスキ監督最新作。『E.T.』『グーニーズ』などを彷彿とさせ、『死霊のはらわた』『マスターズ/超空の覇者』テイストも合わせ持ち、真面目に、誠実に、魂込めて作られた、80年代的懐かしさ満載のSFゴアスプラッターヒーローアドベンチャーがここに誕生した。そのインパクト大なビジュアルと映像が日本でも話題となっており、劇場公開が待望されていた本作。個性豊かな宇宙怪人が多数登場、特撮ファンもうなること必至。子どもがすべてを意のままに操り非日常を冒険するという、誰もが一度は夢見たテーマを、懐かしさあふれるB級テイストで包み、鑑賞後は忘れかけていた“大切なもの”がふたたび芽生えるS級の愛すべき魅力に溢れた傑作。全ての災厄を吹き飛ばす勢いで大注目!2021年、日本の夏はサイコ・ゴアマンの夏となる!
『サイコ・ゴアマン』レビュー
監督が所属する「アストロン6」とは、2007年にカナダで設立された映像制作チームであるが、この「アストロン」というのは、80年代を代表する米VHS市場のパイオニアであった「ベストロンビデオ」をもじったものであり、このことからも想像する通り、オタク臭を隠せないチームである。
そんな中の一人、スティーヴン・コスタンスキの監督作品ということもあって、ノーマルな作品なはずもなく、カルティックな風貌の作品となっている。
これも狙いどおりというか、「毒々モンスター」シリーズのようなシュールなコメディでありながら、80年代のインディーSFのテイストもバッチリ抑えている。『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』がお金をかけたトロマ映画なら、今作はお金はそこそこなトロマ映画路線ゲテモノ映画というべきだろうか。
さらに日本の特撮ファンも喜ぶようなスパイスが効いている。
クリーチャーデザインがやたら戦隊ヒーローやメタルヒーローの幹部や怪人をグロテスクに変換したようなものが多いと思ったら、デザイナーのアウレリオ・マッツァという人物は、クライヴ・パーカーやアメコミなどに加えて、雨宮慶太の影響を大きく受けている。
雨宮慶太といえば、80~90年代において『超人機メタルダー』や『恐竜戦隊ジュウレンジャー』戦隊やメタルヒーローのキャラクターデザインを手掛けていたことは有名な話であり、今作に登場するクリーチャーがどことなく戦隊やメタルヒーローの怪人に似ているのは、その影響だ。
コメディ色を強めたのには、主演のニタ = ジョゼ・ハンナの破壊力によるもの。 撮影当時12歳のニタの演じるミミという破天荒極まりないキャラクターがシュールな空気と見事に融合していて、独自の世界観を作り上げている。
これは天才子役だ…
一方、兄のルークを演じていたオーウェン・マイヤーも他にも多くの作品に出演しており、14歳にして初監督作品『4teen』を発表している、こちらも天才子役。
おバカな設定の映画なのに、出演者が天才というミスマッチな融合もまた、この映画を独自のスタイルに構築できた要因ではないだろうか。
起きてしまったものは、元に戻せないという点では、少し『魔女がいっぱい』のロアルド・ダール的な教訓も入り混じっているようでもある。
点数 82
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