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THE映画紹介『エイリアンVS.プレデター』企画から10年以上かかった夢の対決アメコミ原作映画!!

THE映画紹介『エイリアンVS.プレデター』企画から10年以上かかった夢の対決アメコミ原作映画!!

THE映画紹介とは?

THE映画紹介とは…劇場公開中には観れなかったもの、公開中に観たんだけれども…レビューする前にリリースされてしまったもの、単純に旧作と言われるものを独自の偏見と趣味嗜好強めに紹介するもの。

アメリカ映画、インド映画、ドイツ映画、アジア映画、アニメ、ドキュメンタリー….なんでもあり!!

今回紹介するのは『エイリアンVS.プレデター』

作品情報

南極の地下深くに地球最古のピラミッドが発見されるが、そこは宇宙からやってきたプレデターが、成長の儀式のためにエイリアンと戦う場所だった。企画は10数年前から存在していたが実現しなかった、人気SFシリーズ「エイリアン」と「プレデター」の主役クリーチャーの対決映画。『モータル・コンバット』『バイオハザード』のポール・W・S・アンダーソン監督によって脚本がまとめられ、映画化に至った。

『エイリアンVS.プレデター』基本情報

2004年製作/100分/アメリカ
原題:Alien vs. Predator

監督: ポール・W・S・アンダーソン

出演 : ランス・ヘンリクセン、コリン・サーモン、サナ・レイサン、ラウル・ボヴァほか

オタク監督によるこだわり

南極のセットは、プラハの使用されていない工場を使用し、再現した。

監督の意向でCGをあまり使わないようにしたため、冒頭に登場する巨大船ハイパー丸は模型を使用している。

映画が製作された頃は今ほどではないが、CG技術は進歩していたため、模型を使用しなければならない必要性はなかったが、監督がモンスター映画、怪獣映画オタクのポール・W・S・アンダーソンということで、あくまで「質感」にこだわったのだ。

ここで「エイリアン」をSFホラーとして扱っているか、「プレデター」を1作目の存在として扱っているか、という部分で大きく意見が分かれる部分で、今作はあくまでモンスター映画としてフランチャイズ化された後のゲームやコミックの印象を受けついだ作品となっていて、比較的若い層が作った作品だということが全体的に反映されているのだ。

逆にオリジナル版に思い入れがなく、フランチャイズ化したものを好んできた監督だからこそ、変にしがらみがなく映画を完成させられたのかもしれない。

実はアメコミ映画

今作はアメコミ原作映画である。

勿論、『エイリアン』『プレデター』は映画がコミックよりも早いのだが、ダークホースは1987年に『エイリアン』をコミックシリーズ化させ、『プレデター』も劇場公開前からコミック化を狙っていたため、映画公開後の1988年にコミックシリーズ化させた。

この頃の20世紀FOXは、まだ『ザ・シンプソンズ』が放送開始さされたばかりでまだまだ小さい会社だったため、権利関係事情が今よりもゆるかった。

『プレデター』のコミックシリーズでは、使用権利の関係上、アーノルド・シュワルツェネッガーが演じるダッチは登場させることができなかったため、ダッチの弟という設定の新キャラクターを主人公としたオリジナル作品を展開させることとなった。

『プレデター』のコミックシリーズは、1990年の『プレデター2』に大きく影響をあたえており、設定などは変更されているものの、大まかなベースとなるストーリーがそのまま使用されていたりすることから、半アメコミ映画ともなっている。クライマックスのプレデターの宇宙船内のシーンでエイリアンの骨が置いてあるのも映画というよりは、コミックへのオマージュである。

今作も含め『プレテダーズ』などでもとりいれられている、プレデターの目的が成人の儀式のようなものだという設定は、コミックシリーズの影響が強い。

『エイリアン』『プレデター』のコミックシリーズのヒットを受けて、次に企画されたのは、対決作品だった。コミック版『エイリアンVSプレデター』は、『プレデター2』公開年の1990年に発表された。

この夢のクロスオーバー企画は、話題となり、のちに出版社の壁を超えてスーパーマンやバットマン、ジャッジ・ドレッド、ターミネーターなどとも対決シリーズのベースとなった。

『エイリアンVSプレデター』は映画化が本格的に決まる前から、は映画化したいということで、脚本自体は映画製作の10年前から執筆されていた。

今後のフランチャイズ

2020年には、ダークホースが持つ『エイリアン』『プレデター』のコミック化の契約が満期を迎えることで、マーベルが『エイリアン』『プレデター』の権利を取得、マーベルの親会社であるディズニーも20世紀FOXを買収したこともあり、今後新たなフランチャイズ化も加速する可能性もあり、マーベルはすでにプレデターがアイアンマンの首を持ったアートなどを公式に発表している。

DCキャラクターとは、何度か共演してきたがマーベルキャラクターとの共演は初めてである。マーベルは他にも9月には『ウルトラマン』のコミックシリーズの出版がスタートする。『エイリアンVSウルトラマン』なんかも企画されることがあるのだろうか。

短評

長年企画されていた企画であり、全体的なベースとして1990年のコミックをベースとしているため、プレデターは今作公開時では、まだ2作しか製作されていなかったため、知名度が危うくなっていたこともあったが、何とかコミックや映画のDVDなどで知名度を繋いでいた印象があった。

キャラクター設定上、エイリアンには、あまり意思がないということから、ストーリーベースがプレデター主体となるのは、仕方ない流れであり、そこに第3者である人間が関わってくるという構造は、逃れられなかったとは思うが、エイリアンの小物化が気になってしまう。

今作公開時点では、『エイリアン4』までが公開されており、『エイリアン4』は批判も多かったが、サスペンスやホラーの印象は守っていたのに対して、今回は映画自体がアクション映画となっているため、エイリアンは戦闘員的役割となってしまっている。

ここがあくまでダークホースのコミックシリーズがベースとなっている決定的な部分である。そのため、これを映画の2大シリーズの続編やサイドストーリーとして観ると失敗する作品であり、あくまでコミックの映画として観る必要性があるのだ。

映画が原作となるコミックを映画化したため、映画シリーズとの差別化はハードルが高かったと思うし、そこが映画化までに時間がかかった最大の原因だろう。あくまで映画とは別といっても、今作で与えてしまったエイリアンの雑魚感というのは、後引く問題となっていく。

更に追い打ちをかけるように『エイリアンVSプレデター2』が公開されたことで、H・G・ギーガーによる、性器をモデルとしたエロティシズムを纏った、神秘的な生物エイリアンのイメージは、今までの続編でも低迷していたが、ついに地に落ちてしまった。

その地に落ちた「エイリアン」シリーズのイメージ回復戦略映画として企画されたのが『プロメテウス』であるため、長年続編が企画されていても、なかなか前に進まなかった「エイリアン」シリーズの続編(前日譚)を結果的に後押しししたのも今作だったというのが、何とも皮肉である。

逆にプレデターの描き方としては、幅が広くなった。状況に応じて人間の味方にもなる、独自のモラルを持った宇宙ハンターという設定は、のちの『プレデターズ』や『ザ・プレデター』でも取り入れられている。

とりあえず映画のイメージは置いておけば、作品としては、上手くまとまっているように感じられる。人類にとっても、プレデターにとっても脅威であるエイリアンを共通の敵として、最終的に人間とプレデターが手を組むプロセスの描き方は感動すらおぼえるほどだ。

今作を皮切りに『フレディVSジェイソン』『ブギーマンVSピンヘッド』『スーパーマンVSバットマン』など多くの企画が前進をし始めたが、今作同様にそれぞれのキャラクターのもつイメージ問題が高いハードルとなり、結果的に実現できたのは『フレディVSジェイソン』のみで、これに関しては、今作同様に10年以上前から企画自体されていたものであった。突発的に出た対決企画は実現できていない。

様々な意味でも分岐点的な作品として、ある意味では映画史に残る作品といっても良いのではないだろうか。

ポール・W・S・アンダーソン監督作品

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