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この映画語らせて!ズバッと評論!!(先取り版)『犬部!』ビジュアルとしてはポップだが「命」を扱うことの重みを突き付けられる!!

この映画語らせて!ズバッと評論!!(先取り版)『犬部!』ビジュアルとしてはポップだが「命」を扱うことの重みを突き付けられる!!

作品情報

青森県北里大学に実在した動物保護サークル「犬部」を題材に、林遣都と中川大志の共演で描いた青春ドラマ。片野ゆかのノンフィクション「北里大学獣医学部 犬部!」を原案に、「影踏み」「花戦さ」の篠原哲雄監督がメガホンをとり、動物保護をテーマにしたドキュメンタリーを手がけてきた映像作家・山田あかねが脚本を担当した。子どもの頃から大の犬好きだった獣医学部生・花井颯太は、目の前の命を救いたいという一途な思いで動物保護活動を続けてきた。そんなある日、心を閉ざした1匹の実験犬を救ったことをきっかけに、動物保護サークル「犬部」を設立。同じく犬好きの同級生・柴崎涼介ら仲間たちと共に動物まみれの青春を駆け抜け、やがてそれぞれの夢へ向かって羽ばたいていく。16年後、獣医師となっても熱心に保護活動を続けていた颯太が逮捕されたという報道を受け、かつての犬部のメンバーたちが再結集するが……。主人公・颯太を林遣都、相棒の柴咲を中川大志が演じる。

先取り版とは?

私、映画評論家バフィーがマスコミ試写で、いち早く観て評論する先取り版です。通常回では、公開日もしくは前後に更新していますが、毎週10本以上の新作を観ていて、量が多く大渋滞状態ということもあって、先取りもしていきます。

ダメな作品はダメと言いますが、基本的にネタバレを垂れ流して、映画自体を観なくてもいいような評論はしません。

『犬部!』レビュー

(C)2021『犬部!』製作委員会

青森を舞台とした、実話をベースの物語。

比較的ポップなビジュアルと、可愛いワンコやニャンコが登場するほのぼの系のゆるいコメディかと思いきや、かなりストレートに「命」を扱うことへの重みというのが描かれている。

ミッキーがプルートを飼っていたり、キティちゃんがにネコを飼っているというおかしな事例は置いておいて、動物を「飼う」という概念があるのは人間特有のもの。それは人間のエゴによる娯楽の対象でしかないわけだが、そういった醜い部分というのは、実生活において、私たちは見ないようにしている。

「可愛い」の先にある代償とは…ペットショップで売れ残った動物たちは、その後どこへ行くのだろうか…そこには、大きな闇がある。

それがあからさまに現れるのが「殺処分」という身勝手な結末である。

これが人間だったとしたらどうだろうか、増えすぎてしまったり、行き場のなくなってしまった人間を殺処分にするだろうか?

かつては「姥捨て山」なんてものも存在していたわけだが、人間はそれではいけないと思ったから、なくなった文化ではないだろうか。

慈善団体も人間を相手にしたものの方が圧倒的に多く、人間がやっているから仕方ないにしても、本来は「命」の区別というものは、あってはならないもの。

今作で扱われているのは、主に犬や猫といった身近な動物ではあるが、例えばハブを退治するために沖縄に持ち込まれた外来種のマングースが結果、増えすぎてしまったために駆除されるのは仕方ないと思ってしまったりするように、身勝手な概念、見かけや思い入れによる差別というのが、刷り込まれてしまっている。

今作では「命」を扱うことの重みと、それをしている人間の役割というのを、改めて考えさせられる作品であるし、比較的ポップなビジュアルが全面に出ているからこそ、そのギャップとして、普段そこにある「闇」が浮き彫りになっているようにも感じられるのだ。

CREDIT

(C)2021『犬部!』製作委員会

林 遣都 中川大志 大原櫻子 浅香航大 / 田辺桃子 安藤玉恵 しゅはまはるみ 坂東龍汰 田中麗奈/酒向 芳 螢 雪次朗 岩松 了

監督:篠原哲雄

脚本:山田あかね

原案:片野ゆか「北里大学獣医学部 犬部!」(ポプラ社刊)

主題歌:「ライフスコール」Novelbright(UNIVERSAL SIGMA / ZEST)

配給 : KADOKAWA

公式サイト inubu-movie.jp

7月22日(木)より全国ロードショー!

点数 80

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