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この映画語らせて!ズバッと評論!!『ベラのワンダフル・ホーム』ハートフルコメディかと思いきや突然ピットブル飼育禁止問題勃発!!

この映画語らせて!ズバッと評論!!『ベラのワンダフル・ホーム』ハートフルコメディかと思いきや突然ピットブル飼育禁止問題勃発!!

作品情報

『僕のワンダフル・ライフ』『僕のワンダフル・ジャーニー』原作者のW・ブルース・キャメロンによる小説を映画化し、飼い主と遠く離れてしまった犬がもといた家に戻るために繰り広げる旅路を通して、ペットと人間の絆を描いたドラマ。野良犬だったベラは退役軍人病院で働く学生のルーカスに保護される。ルーカスのもとで幸せな日々を送り、成長したベラだったが、ある事件をきっかけに家から600キロも離れた場所で迷子になってしまう。ベラは再びルーカスに会うため、さまざまな困難が待ち受ける旅に出る。原作者のキャメロン自ら脚本に参加。監督は『イルカと少年』のチャールズ・マーティン・スミス。ベラの声を『ジュラシック・ワールド』『ロケットマン』のブライス・ダラス・ハワードが担当した。

『 ベラのワンダフル・ホーム 』レビュー

突然ピットブル飼育禁止問題勃発!!

人間側の主人公のルーカスが自宅の向かいの空き地に猫と共に捨てられていたアメリカンピットブルテリア、通称ピットブルを拾い、育てたのだが問題が発生。日本で言うなら土佐犬のように少し危険視されている犬で州によっては飼育が禁止されている。かつては闘犬や猟犬として飼育されていた過去があるからなのだが、今の時代にバカバカしい話ではあるが、それが現状なのである。

室内ならギリギリOKらしいが外に出ていると殺処分されてしまうため、ルーカスが引っ越すまでの間、『Jaxi』『X-MEN ダーク・フェニックス』のアレクサンドラ・シップ演じるオリヴィアの知り合いのところにベラを預けたのだ。いよいよベラを引取りに行ける状態になったことでルーカスから電話がかかり、明日迎えに来ることをベラに「家に帰れるよ」と言ってしまう…

実はルーカスとの間の合言葉として「家に帰れ」は家まで逃げろという風に教え込んでしまっていたため、その言葉でベラは明日までまっていれば普通に帰れたのに「家に帰れ」という言葉がトリガーとなって、自力で家まで帰ろうとして逃げ出してしまうという、利口なのかおバカなのかわからない犬なのだ。

後半からは子供向け動物冒険ものに変換され「絆」の部分が超薄口に

そこから『奇跡の旅』のようなベラの大冒険が始まるのだが、その中で親を殺されたクーガーの子供をみつけた流れで育てることになったり、他の誰かに飼われることになったり…たらい回しという点では死にはしなないものの、『僕のワンダフル・ライフ』状態。

全然違う内容ではあるが、原作者が同じということでテイストはなんとなくだが似ているのだ。

共通していることは、クーガーの子供はもちろん、犬同士とは意思の疎通ができていないこと。だから自分なりに人間の言葉を変換して言葉を理解して、心の声みたいにしているが、犬同士とは言葉を交わすことはできないという理論なのだろう。

犬じゃないから実際問題はわかるわけもないが、原作者のW・ブルース・キャメロンは犬大好きであることは間違いない。

また『僕のワンダフル・ライフ』の共通のテーマとして、人間と犬の絆を描いているのだが、この映画で決定的に違っているのは、『僕のワンダフル・ライフ』も『僕のワンダフル・ジャーニー』も犬がいなくなるときは、「死」として受け入れていたのだが、今作はあくまで行方不明状態なのだ。

ルーカスが迎えに行くとき、ルーカスの車とベラがすれ違うシーンを境にルーカスが全く登場しなくなってしまう。行方不明の張り紙がしてあったりするのだが、肝心のルーカスサイドを全く描かないから、「絆」というテーマが10分の1ぐらいまで薄められてしまうのだ。

全く違うジャンルだが、先日批評した『IT イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』も同じことをやっているのだ。

描かなくてはいけない部分であると思うのだが、最近それが欠けている映画が多い気がするのは気のせいだろうか。

撮影はしているが、映画として編集する際にカットされてしまっているのだとしたら、今の映画業界は編集人が駄目な人がすぎるということだろう。

だとしても…ベラが行方不明になっていた期間は2年半。少なからずルーカスが色んなところを探し回って張り紙を張る様子などは最低限必要ではないだろうか。

それでも2年半越しの再会は、動物映画の強みということもあり、犬を飼ったことのある人なら感動してしまうのだが、冷静に考えるとやっぱり「絆」の描き方が足らなすぎるのだ。

これは吹替えが悪いのかもしれないのだが、ルーカスが「生きてたんだ」というセリフには幻滅してしまった。そこは「生きてるって信じてた」というべきではないだろうか。このセリフで更に「絆」の描き方は失格となった。

クーガーの目がアニメすぎる

ライオン・キング』で慣れてしまっていのがあるからなのか、クーガーのCGのレベルが低く感じられてしまう。特に目がアニメ感が色濃く出てしまっていて、『バーチャル・ウォーズ』や『スポーン』の頃のCGなんかより全然高いクオリティなのが目が肥えてしまっている証拠だろう。

ルーカス役のジョナ・ハウアー=キングはなんとなく『僕のワンダフル・ライフ』のときのK・J・アパに似ているのだが、狙ったのだろうか??

点数 60点

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