THE映画紹介とは?
THE映画紹介とは…劇場公開中には観れなかったもの、公開中に観たんだけれども…レビューする前にリリースされてしまったもの、単純に旧作と言われるものを独自の偏見と趣味嗜好強めに紹介するもの。
アメリカ映画、インド映画、ドイツ映画、アジア映画、アニメ、ドキュメンタリー….なんでもあり!!
今回紹介するのは『ヒトラーを欺いた黄色い星』
作品情報
ナチス政権下のベルリンで終戦まで生き延びた約1500人のユダヤ人の実話を、実際の生還者の証言を交えながら映画化。1943年6月19日、ナチスの宣伝相ゲッベルスは、首都ベルリンからユダヤ人を一掃したと宣言。しかし実際は約7000人のユダヤ人がベルリン各地に潜伏しており、そのうち約1500人が終戦まで生き延びた。運良く収容所行きを免れ、ドイツ人兵士に成りすましてベルリン市内の空室を転々としていたツィオマは、ユダヤ人を救うための身分証偽造を行う。戦争未亡人を装って映画館に出かけたルートは、ドイツ国防軍の将校にメイドとして雇われる。16歳の少年オイゲンは、ヒトラー青少年団の制服を着て身元を偽りながら、反ナチスのビラ作りに協力する。極限状態の中で彼らがどのようにして住居や食料を確保し、ゲシュタポや密告者の監視の目をすり抜けたのか、歴史の知られざる真実を描き出す。
『ヒトラーを欺いた黄色い星 』基本情報
2017年製作/110分/G/ドイツ
原題:Die Unsichtbaren
監督・脚本:クラウス・レーフレ
出演:マックス・ラウフ、アリス・ドワイヤー、ルビー・O・フィーなど。
『ヒトラーを欺いた黄色い星 』おすすめポイント
クラウス・レーフレ監督のプロフィール
クラウス・レーフレは、映画監督、脚本家、ドキュメンタリー監督。
テレビ向けのドキュメンタリーをメインとして活躍する監督で、これまでに約40本の長編ドキュメンタリーを製作してきており、1992年製作の『Die Heftmacher』ではグリム賞の年間最優秀テレビジャーナリズム賞を受賞した。
その後も数々のドキュメンタリー賞を受賞しているが、残念ながら、これらの作品は日本では観ることができない。映画としての作品は今回が初監督・初脚本・初製作となる。
映画『ヒトラーを欺いた黄色い星』の主なキャスト
マックス・マウフ(ツィオマ・シェーンハウス役)のプロフィール
マックス・マウフは、1987年7月3日生まれ、ドイツ・ベルリン出身の俳優。1995年から子役として数本の短編に出演したのち、2002年に『The Year of the First Kiss』で長編映画デビューを果たします。その後は数々の映画やテレビドラマに主演します。残念ながら多くの作品は日本未公開のため、観ることができないが、2008年のケイト・ウィンスレット主演映画『愛を読むひと』、2015年にはトム・ハンクス主演の『ブリッジ・オブ・スパイ』、ドラマシリーズ『センス8』『HOMELAND』で活躍を観ることができる。次回作は『マリアンヌ』や『汚れたダイヤモンド』などに出演しているドイツの名優アウグスト・ディール主演映画『Radegund』
アリス・ドワイヤー(ハンニ・レビィ役)のプロフィール
アリス・ドワイヤーは1988年生まれ、ドイツ・ベルリン出身の女優。2000年に子役として出演した『Anna Wunder』で映画デビューを果たします。その後、数々の映画やテレビドラマに出演。残念ながら多くの作品は日本未公開のため、観ることができないが2010年の『穏やかな暮らし』、2011年の『あの日あの時愛の記憶』で活躍を観ることができる。
インタビューとドラマパートの融合によるリアリティ
過去にも現在にも何度も第二次世界大戦でのナチスによるユダヤ人狩りは映画化されているが、理不尽な状況下において、何とか生きなければならないという想いから、ユダヤ人を人間でないかのように扱うドイツ人に成りすまさなければならない、身分を偽らなければならないという屈辱にも耐えていた彼らは何を感じて、何を生きる糧にしてきたのか...
当時を必死に生きぬいた4人の生還者のインタビューとドラマを交えながら、衝撃の真実を紐解いていくという、近年で言うと『アメリカン・アニマルズ』の様なテイストの映画となっている。
映画的にスリリングな演出でエンターテイメント性も盛り込まれているが、この映画で描かれていることは、全てが真実の物語だということを胸に刻んで観ていくと、当時の過酷さを体感できる。
ドキュメンタリー監督だからこその使命感
数々の長編ドキュメンタリーを手掛けてきてた、クラウス・レーフレ監督がテレビから映画に舞台を変えて、伝えたいこととは...
残念なのは、クラウス・レーフレ監督の手掛けたドキュメンタリー作品がどれも日本では未公開ということ。この作品をきっかけにクラウス・レーフレ監督作品が日本でも観れることを願いたい。
人類最大の悲劇とも言われる、ホロコーストは何故、何度も何度も映画化されるのか...
映画的に作品のテーマとして、ドラマ性が強いという点はあるかもしれないが、歴史上の人類の汚点を描くことで、いかに人間同士が愚かなことを行っていたかということと、二度と繰り返してはいけないという平和への想いからだと思われる。
クラウス・レーフレ監督はドキュメンタリー作品を得意としているだけに、真実を追求した中で、見えてきた真実を現代を生きる人と後世にも伝えなければいけないという使命感があったからなのかもしれない。
映画としては初となるが、過去にドキュメンタリーで数々の賞を受賞している監督だけに、「伝える」ということに関しては長けていることは間違いない。
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