ラジオ番組「バフィーの映画な話」Spotifyなどで毎週配信中!!
この映画語らせて!ズバッと評論!!『バービー』本当の意味で男女平等って何だろう…??グレタ節全開の哲学映画!!

作品情報

どんな自分にでもなれる完璧で<夢>のような毎日が続く“バービーランド”で暮らすバービーとボーイフレンド(?)のケン。ある日突然身体に異変を感じたバービーは、原因を探るためケンと共に〈悩みのつきない〉人間の世界へ!そこでの出会いを通して気づいた、”完璧”より大切なものとは?そして、バービーの最後の選択とはー?

『バービー』レビュー

ハリウッドでは、サマーシーズンの競合映画を互いに観ることで、どれもヒットさせようという、配給会社の垣根を越えたPRが行われていたなかで、『バービー』と同日公開だった、クリストファー・ノーラン監督最新作にして、原爆の父、ロバート・オッペンハイマーの伝記映画『オッペンハイマー』を一緒に観るという「バーベンハイマー」ムーブメントに。

そこまでは平和的なキャンペーンで良かったものの、一部のファンがきのこ雲とバービーの世界を融合させたファンメイドアートを拡散してしまったことで、一気にミーム問題へと発展し、公式も不意に好意的な評価をしてしまったことから、様々なところに飛び火し、キャンセルカルチャー状態となってしまった。

それについては一部のファンや公式のSNSチームが起こしてしまったことであり、映画自体を悪として、観ないように呼び掛けたり、公開中止を求めたりというのは、何か違うのではないだろうか。ただ叩けるものを見つけて、そこに群がっているとしか思えない反応がほとんどである。

そういったPRサイドでのゴダゴタはあるものの、今作はかなり良くできた作品。観ないという選択をすることが勿体ない作品だということは言っておきたい。

「トランスフォーマー」の映画化が成功して以来、おもちゃの映画化企画は急増。「レゴ」や「プレイモービル」に続き「ミクロマン」「ファービー」「ホットウィール」「ベイブレード」などといった映画化企画も進行中であるなかで、「バービー」の映画化というのも注目されてきた企画のひとつだが、監督がグレタ・ガーウィグというだけで、ストレートなガールズムービーにするはずはないと思ったが、予想以上に飛びぬけた作品に仕上げてきた!!

おしゃれ映画のようにコーティングされているが、非常に哲学的な作品ともいえるだろう。

バービー人形といえば、1950年代に誕生した、最も古い少女向けのファッションドールであり、マテルの創業が1949年からということもあって、常にバービーとマテル社は共に歩んできた同士のような存在。

今作にも登場するバービーの生みの親のルース・ハンドラーは、まだ女性の社会進出が珍しかった時代のなかで、先頭に立ち、周りの反対を押しのけバービーの発売にこぎつけたことも重なって、バービーは独立した女性の象徴的な存在として扱われることも多かった。

時代、時代で評価と批判の両方をあびながら、存続の危機に立たされながらも、モデルチェンジなどを繰り返し、今も現役で新商品が発売され続けているわけだが、人々の価値観や概念も時代によって変わっていくわけで、現代社会にとってのバービーとは、どんな存在なのだろうか。

つまりバービーとは何か?というとを現代人の視点、マテル社の視点、それに加えてバービーの視点やケンの視点なども加わり、交じり合うことで、改めて問うものとなっている。

一方、作中でバービーたちが暮らす、バービーランドは、女性が権力を握っており、男性はお飾り状態。しかしリアルな人間社会では真逆になっている。どちらも男女平等ではなく、どちらか一方が権力をもつと、どちらか一方が独裁的になってしまうという、本当の平等の難しさが描かれている。

『レディ・バード』や『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』など、フェミニズム色の強い作品を手掛けてきたグレタ・ガーウィグがそういった内容に仕上げてきたということは、今までの作家性に対しての自問自答にも感じられるのだ。

さらに詳しいレビューに関しては、エンタメネクストとクイック・ジャパンとうで映画公開にあわせて掲載されるのでそちらを!!

点数 90

この映画語らせて!ズバッと評論!!カテゴリの最新記事