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この映画語らせて!ズバッと評論!!『そばかす』多数派こそが”正義”で、多数派こそが”常識”なんて誰が決めたのだろうか……。

この映画語らせて!ズバッと評論!!『そばかす』多数派こそが”正義”で、多数派こそが”常識”なんて誰が決めたのだろうか……。

作品情報

私・蘇畑佳純(そばた・かすみ)、30歳。チェリストになる夢を諦めて実家にもどってはや数年。コールセンターで働きながら単調な毎日を過ごしている。妹は結婚して妊娠中。 救急救命士の父は鬱気味で休職中。バツ3の祖母は思ったことをなんでも口にして妹と口喧嘩が絶えない。そして母は、私に恋人がいないことを嘆き、勝手にお見合いをセッティングする。私は恋愛したいと言う気持ちが湧かない。だからって寂しくないし、ひとりでも十分幸せだ。でも、周りはそれを信じてくれない。恋する気持ちは知らないけど、ひとりぼっちじゃない。大変なこともあるけれど、きっと、ずっと、大丈夫。進め、自分。

『そばかす』レビュー

クイック・ジャパン・ウェプや日刊サイゾーでも紹介しているので、ちょっとショートめのレビュー。

いわゆるキラキラ映画のヒロイン像から脱却したようなテイストではあり、しかしそれこそがリアルな人間描写といったメッセージが込められた『わたし達は大人』『よだかの片想い』に続く、(not) HEROINE moviesの第3弾。『ドライブ・マイ・カー』の多くを語らずとも、少し表情の変化で感情を伝える見事な演技が記憶に新しい三浦透子の単独初主演作でもある。

そして、また今作が扱っているテーマが全人類に共通すべきテーマというか、改めて考えるべき問題だと思わされる。そんな作品だ。

男性との出会いがないわけでもない、きっかけもないわけでもない。だけど恋愛感情も性欲もない女性。かと言って同性愛者でもない。しかし、周りがそれを普通じゃないと決めつける。そもそも、それが普通じゃないと誰が決めたのだろうか。そもそも普通って何?

普通というのは、多数派によって勝手に作り出された価値観や概念でしかない。一方で自由に生きろと言いながら、偏ったもので縛られた中でしなければならない。それって自由といえるの??

そうやって、なぜ人はマジョリティで人を縛ろうとするのだろうか。説明ができないのにも関わらず、多数派だからというだけで”あたりまえ”や”普通”、”常識”になってしまっている価値観や概念の不安定さを真っ向から描きながらも、どこかに理解してくれる人は必ずいるし、恋愛や結婚という概念に縛られず、他者と交じり合わずとも、並行線上に関係を築く関係だってあってはいいのではないだろうかという希望も同時に描いている。

恋愛だけに限らず、社会的概念や価値観が重たいと思っている人にとって、少しでも肩の荷が下りるような気分になれるだろう。

点数 82

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