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この映画語らせて!ズバッと評論!!『U-TURN(ヒンディー・リメイク版)』カンナダ版の弱点を補った作品ではあるが同様にホラーとしては弱い!!

この映画語らせて!ズバッと評論!!『U-TURN(ヒンディー・リメイク版)』カンナダ版の弱点を補った作品ではあるが同様にホラーとしては弱い!!

作品情報

Uターン禁止場所で交通違反した者を調査していたジャーナリストのRadhika Bakshiは、道路付近に住むホームレスの協力を得て、違反車両のナンバーを手に入れる。取材のために違反者の家を訪ねた Radhika だが、そこで殺人事件に遭遇してしまったことから、容疑者として警察に疑われてしまった Radhika 。しかし、その後も同じ交通違反者が続々と不自然な死を遂げていることが解っていく…….。

『U-TURN(ヒンディー・リメイク版)』レビュー

日本ではNetflixでオリジナルのカンナダ版『危険なUターン』が配信中だが、その同作をヒンディーリメイクした今作はZEE5オリジナル作品として配信されており、今のところ日本の配信サービスでは観ることができない。ありがたいことに日本からもZEE5には加入可能であることから、英語字幕では観ることが可能だ。

また今作はヒンディーの前にも複数の言語でリメイクされているが、そもそもこれをリメイクするほどの需要があるのかは毎回疑問に思う。

カンナダ版のアプローチとしては、サスペンスに見せかけて実は「そっちなの!!」っていうホラー的驚きを演出した作品ではあるが、全体的な構成の雑な感じが出てしまっていて、そのサプライズが逆に作品の質を低下させてしまっていた。

しかし、ヒンディー版は最初からホラーとしてのアプローチから入りながら、サスペンスなのでは?と思わせる逆パターンになっていて、構成としてはオリジナル版の弱点を補っている。

アプローチの違いを理解するうえでも『危険なUターン』は、最低限観ておいた方がいいだろうし、そうでなければ語れない作品になっている。

演出としては良くなっているし、ホームレスが完全にホラーリリーフになっていてキャラクター設定や結末も少し違ってはいるが、全体的な構成はオリジナル版をなぞっていることもあって、最終的には微妙なサスペンス風ホラー映画という印象を残してしまうし、もう少しスピード感は欲しかった。

今作で監督を務めたアリフ・カーンは今作が長編監督としてはデビュー作となる。今まで『スチューデント・オブ・ザ・イヤー2』や『グンジャン・サクセナ -夢にはばたいて-』などで助監督を務めてきた人物だ。ホラー作品は今回が初めてだが、初めてにしてはよくやった方ではないだろうか。

とはいえ、今作もオリジナル版、他のホラー映画もそうだが、ここ数年で多様な映画ジャンルが増えてきたといっても、インドにとってホラー映画はまだ苦手ジャンルだと感じる。

他国のエンタメを吸収する力に長けているインドの映画業界はハリウッドやアジア、最近ではヨーロッパ映画のテイストを積極的に取り入れ、NetflixやAmazonなどの配信サービスの普及や『スクリーム6』や「死霊館」シリーズなどがインドでも劇場公開される環境になっている中でもホラージャンルはなかなか未開拓。今後どう改善されていくのかは期待もできるが、同時に不安もあるといったところ。

作品自体はそんなところだが、主人公の魅力としては圧倒的にヒンディー版が勝っているだろう。

主演を務めるのは、ボリウッド女優プージャ・ベティの娘であり、サイーフ・アリー・カーン 主演のコメディ映画『Jawaani Jaaneman』で女優デビューを果たし、現在撮影中のタイガー・シュロフ&アクシャイ・クマールのW主演映画『Bade Miyan Chote Miyan』にも出演している人気急上昇中のZ世代女優アラヤ・F。若い世代からはファッション・アイコンとしても支持されている。

オリジナル版のシュラッダー・シュリナスやテルグ・タミル版のサマンサ・ルス・プラブも眼力の強い女優だったが、アラヤ・Fも眼力は負けてはおらず、その眼差しから伝わる説得力は、アヌラーグ・カシャプ監督作『Almost Pyaar with DJ Mohabbat』の中でも印象的だった。

改めてアラヤの顔が濃いことを実感した……。

点数 77

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