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この映画語らせて!ズバッと評論!!『シン・仮面ライダー』魂のない仮面ライダーを作った罪は重い!!

この映画語らせて!ズバッと評論!!『シン・仮面ライダー』魂のない仮面ライダーを作った罪は重い!!

作品情報

謎の女性緑川ルリ子を連れて謎の組織「SHOCKER」の追手から逃げることになった本郷猛。その中で、自分の体が何か別のものに変わっていることに気付き、さらに恩師である緑川博士によって改造人間にされてしまったことを告げられる。しかし脳は改造されていなかったことから、人間の時の意識が残っている本郷は、自分の置かれている立場に困惑しながらも、ルリ子を守り、SHOCKERと戦う運命に立ち向かうことになる……。

『シン・仮面ライダー』レビュー

庵野秀明がこれを作ったというのは、罪である……。

なぜなら、「仮面ライダー」という作品を熟知しているはずの人間として、『シン・仮面ライダー』を撮るという大役を任されておいて、「仮面ライダー」の一番と言っても過言ではない重要なテーマをスルーしているからだ。

それは何かというと、「改造人間であることの哀しみ」だ。

主人公・本郷猛は、突然改造人間にされてしまったことで、元の生活に戻れないことや人間として生きていけないことを無理にでも受け入れながら、その中で自分の使命として、正義のヒーローに目覚めていくというのが大筋の流れで、その中で葛藤や哀しみ、孤独感というのは、どうしても描くべき、描かなければいけないテーマなのだ。

正義とか悪とか簡単に線引きできない現代社会において、そこの境界線が不安定だったりして、正義のヒーローとしてはっきり描くことは求めていないながらも、少なくとも葛藤部分は、全体の尺を通して描かないといけないというのに、冒頭ですんなり受け入れてしまって、かなりドライで機械的な人間描写になってしまっている。

その分、緑川ルリ子の目線からは多少描かれる部分はあるものの、この作品はあくまで「仮面ライダー」であるのだから、基本的には本郷猛の目線で描いて欲しいものだ。

『シン・ウルトラマン』の場合も、人間ドラマとしてはドライで機械的だったのだが、ウルトラマンの場合は宇宙人だから、それは通用したというもので、本郷猛は改造されたとはいえ人間なのだから、同様の描き方は通用しない。

庵野作品の特徴として、人間ドラマが薄いというのはあるし、それは庵野秀明がそもそも人間ドラマを描けない体質なのかもしれないが、それであれば脚本だけは別の人に書いてもらうべきだった。

人間ドラマを中心的に考えていなかったという時点で、「仮面ライダー」という作品のテーマをはき違えている。

いくらオタクネタが詰め込まれて、仮面ライダーや石ノ森作品のトリビア満載になっていたとしても、骨組みがボロボロでは、全く活きてこない。

そして単純にストーリーも展開もはりぼてのような映画でしかない。

『シン・ウルトラマン』同様に、「東宝チャンピオンまつり」「東映まんがまつり」仕様だと思って、忖度して観れば許せた範囲であるし、今作の場合もメインテーマがしっかり描かれていれば、それはそれで問題なかったのだが、最初から破綻しているのだから、そんな忖度も通用しない……。

点数 65

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