新型コロナウイルス感染拡大を受けて、アメリカでも『ブラッドショット』や『トロールズ ミュージック★パワー』劇場公開作品を公開と同時だったり、緊急処置として映画を2次使用するには、劇場公開してから、90日は期間を空けなければいけないというシアトリカル・ウィンドウを無視しての配信サービスも提供する動きが出てきている中で、日本では、まだ劇場公開作品を同時期もしくは、近い時期に公開には踏み切っていない。
しかし、新型コロナウイルスの終息がまだまだ見えない中で、先日『映画ドラえもん のび太の新恐竜』が公開延期になったことについて記事にしたが、『クレヨンしんちゃん』『名探偵コナン』の東宝劇場版アニメビッグ3がついに全て公開延期となった。ディズニーも『ムーラン』『2分の1の魔法』を無期延期「近日公開」に切替えはじめた。
先週も『チア・アップ!』『ウェイブス』など4月10日に公開予定だった作品が、首都圏の映画館閉鎖によって、ことごとく公開延期となってしまった。
そんな中で、ソニー・ピクチャーズ・ホーム・エンターテイメントは、『チャーリーズ・エンジェル』と『バッドボーイズ・フォーライフ』のDVD&デジタル配信を前倒しで行うことになった。
『チャーリーズ・エンジェル』は2月21日公開に対して、4月29日リリース。『バッドボーイズ フォー・ライフ』は1月31日に対して4月29日リリースとなった。これはビデオやLDの時代からもそうだが、日本のDVD市場では、異例の早さである。
『グレイテスト・ショーマン』や『ジョーカー』のようにロングラン上映が続いてしまったことで、あまり期間を置かないという若干の例外作品や『リトル・モンスターズ』『死霊船 メアリー号の呪い』のようにもともとがDVDリリース予定のものを先行上映したものなどはあるが、一般的な劇場公開作品は、早くて4カ月後である。
最近のもので例を出せば『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』は12月20日公開に対して、4月29日リリース。『フォードvsフェラーリ』は1月10日公開に対して、5月2日リリース。ソニー・ピクチャーズ作品でも『ジュマンジ ネクスト・レベル』は12月13日公開に対して、3月25日リリース。というのが一般的なもの。韓国映画や日本映画は、また少し違う場合があるが4カ月ぐらいというのが境目であるのだ。
外出自粛や映画館閉鎖が続く中、劇場で公開して収益を回収することができない大手は、DVDリリースや動画配信サービスを前倒しにはしていくだろう。しばらくは最近まで公開されていた作品を前倒しでリリースする流れはできてくると思うし、当初は劇場公開が予定されていて、メジャー作品ではないけど、ミニシアターというほどでもないという微妙なラインの作品はDVDスルーになる可能性は通常より高くなっていくだろう。
問題はメジャー系劇場公開作品である。しばらくは、公開延期という処置をとるだろうが、例えば8月に延期にしても8月に状況が改善されているかというと、全く不明というか、ワクチンが少なくとも1年半ぐらいはかかるという状況で難しい気はする。
実際、その状況になったときに、アメリカみたいに少し高い金額設定で配信サービスに踏み切るか、再び延期にするかというのは今後の日本の映画業界・テレビ業界…エンタメ界全体が抱えるとてつもなく大きな課題である。
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