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この映画語らせて!ズバッと評論!!(先取り版)『コーダ あいのうた』オリジナル版を意識しつつ独自の設定を散りばめることで繊細な人物描写を実現した!!

この映画語らせて!ズバッと評論!!(先取り版)『コーダ あいのうた』オリジナル版を意識しつつ独自の設定を散りばめることで繊細な人物描写を実現した!!

作品情報

アカデミー賞®の前哨戦ともいわれるサンダンス映画祭で、史上最多4冠に輝き、世界を沸かせた〈必見の1本〉。その日、この映画が上映されるや、各国のバイヤーが配給権に殺到。サンダンス映画祭史上最高額【約26億円】で落札されたことも大きなニュースになった。主人公のルビーには、大ヒットTVシリーズ『ロック&キー』で一躍人気のエミリア・ジョーンズ。共演は『シング・ストリート 未来へのうた』の主役でも話題のフェルディア・ウォルシュ=ピーロ。ルビーの家族を演じるのは、オスカー女優のマーリー・マトリンを始め全員が実際に聞こえない俳優たち。そのキャスティングにこだわったのは、若き実力派監督シアン・ヘダー。抱き合い支え合っていた家族が、それぞれの夢に向かって歩き始めることで、さらに心の絆を強くする──熱く美しい瞬間を共に生き、あなたの〈大好きな一本〉になる、爽快で胸熱な感動作。

先取り版とは?

私、映画評論家バフィーがマスコミ試写で、いち早く観て評論する先取り版です。通常回では、公開日もしくは前後に更新していますが、毎週10本以上の新作を観ていて、量が多く大渋滞状態ということもあって、先取りもしていきます。

ダメな作品はダメと言いますが、基本的にネタバレを垂れ流して、映画自体を観なくてもいいような評論はしません。

『コーダ あいのうた』レビュー

フランス映画『エール!』のアメリカリメイク作品。

大まかなプロットや演出などは、似た部分も多く、セリフに関してもそのまま使用しているものも多い。

恋愛要素が追加されていたり、楽曲はアメリカで親しまれている曲に変更されていたり、細かい設定などが変更されている。

細かい部分でいえば、例えばオリジナル版では農場という設定だったが、今作では漁師という設定に変更されているし、音楽教師の個性が強調されていて、既婚者になっている。弟ではなく兄がいる設定など、随所にオリジナル設定が散りばめられている。

実際に聴覚障害のある俳優をキャスティングしていった結果として、オリジナル版と似た俳優になっているのは奇跡といえるだろう。

設定を漁師にしたことで、健聴者が船に同乗しないといけない状況をより具体的に作り、家族が依存しているという環境を強調しているのと同時に、ルビーも家族を手伝うことで、ひとりだけ健聴者であることへの疎外感を埋めていることも描いていて、互いに依存し合う関係性が強固なものとなっている様子が、オリジナル版よりも凄く感じられた。

自分の歌声に対して、可能性を見出していくことが、結果的に家族と孤立してしまうことになる。

理想と現実の絶妙な距離感、一番歌声を聴いてほしい家族に聴いてもらうことのもどかしさの中で、どう歌を伝えるのか、そしてそれが家族にどう伝わるかの描き方は、オリジナル版に沿っていながらも、ストーリーを通して今作独自に繊細に描いてきた結果的要素が加わり、見事なまでの完成形となった。

ルビー役のエミリア・ジョーンズの歌唱力も大きな役割を果たしていて、ちゃんと才能があると感じさせる説得力には感心するのみだ。

点数 82

1/21(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー!ほか全国順次ロードショー

監督・脚本:シアン・ヘダー 

出演:エミリア・ジョーンズ「ロック&キー」、フェルディア・ウォルシュ=ピーロ『シング・ストリート』、マーリー・マトリン『愛は静けさの中に』、トロイ・コッツアー 

原題:CODA|2021年|アメリカ|カラー|ビスタ|5.1chデジタル|112分

字幕翻訳:古田由紀子|PG12 配給:ギャガ GAGA★

(C) 2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS 

公式HP:gaga.ne.jp/coda

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