ラジオ番組「バフィーの映画な話」Spotifyなどで毎週配信中!!

この映画語らせて!ズバッと評論!!『子供はわかってあげない』タイトルに意味に気づいたとき、物語はより濃厚に変化する!!

この映画語らせて!ズバッと評論!!『子供はわかってあげない』タイトルに意味に気づいたとき、物語はより濃厚に変化する!!

作品情報

高校 2 年、水泳部女子の美波は、ある日、書道部男子のもじくんとの運命の出会いをきっかけに幼い頃に別れた父親の行方を探しあてる。何やら怪しげな父にとまどいながらも、海辺の町で夏休みをいっしょに過ごすことに。。。
心地よい海風。鳴る風鈴。超能力!?そして、初めての恋に発狂しそう!
お気楽だけど、けっこう怒濤の展開。誰にとっても、宝箱のような夏休み、はじまりはじまり~。
主人公・美波には『義母と娘のブルース』で注目を集め、『いだてん~東京オリムピック噺~』舞台「ゲルニカ」など話題作に次々と出演し、瑞々しい魅力と確かな演技力で引っぱりだこの上白石萌歌。相手役の「もじくん」こと門司役には、超新人ながら石井裕也監督作『町田くんの世界』(19)主演に大抜
擢されて話題を呼んだ細田佳央太。美波が幼い時に離婚し、行方がわからなくなってしまった実父の友充役に豊川悦司。門司の兄であり、ストーリーの鍵を握る探偵役に千葉雄大、美波の母親である由起役に斉藤由貴、美波の育ての父
には古舘寛治と実力派の名優陣演じる大人たちが物語を豊かにひろげます。
ユーモアあふれる、あたたかい人間ドラマに、沖田監督初の漫画原作映画化で新たな魅力が加わり、世代を超えて愛される青春映画が誕生。

『子供はわかってあげない』レビュー

ある日、手紙が届いた。それには直接的なことは書かれておらず、差出人もよくわからないような状態だったが、 美波にはそれが幼い頃に別れた父親からのものだと直感でわかったものの、名前も住所も書かれていなかった。

その手紙をきっかけに、実の父親を探すことになるわけだが、実はここにタイトルの意味が活きてくる部分があって、そもそも『子供はわかってあげない』というのは、タイミングのことではないだろうか。

そんな父は住所も書かずに、「会いたい」とも書いていない。もちろん本音としては、娘に会いたい気持ちはあるが、それをストレートに伝える勇気もない。だからこそ、まさか会いに来ないだろうと思い、会いたいけど伝えられない気持ちを感覚的に謎の手紙を出してしまったわけで、ある種の自己満足だったのかもしれない

しかし、美波は会いに来てしまった…嬉しいのは大前提ではあるが、一方で心の準備ができていない部分もある。つまり子供というのは、大人の心の準備ができるのなんて待ってくれずに、成長するし、行動してしまう。

これは父の視点だけではなく、一緒に暮らす母の視点も同じことがいえる。

親にとって、子供というのは、いつまでたっても幼いイメージがあったりするわけで、そんな中で成長した姿を見てしまうと、心の準備ができておらず、思わず涙を流してしまうことがある。

親の目線から『子供はわかってあげない』ということではないだろうか。それに気づくとこの作品が、子供の成長を見守る物語であると理解ができるのし、実は冒頭のオリジナル劇中アニメの中にも同様のメッセージが含まれている。

上白石萌歌のふんわりした雰囲気を活かした主人公・美波と、周りのくせ者揃いな登場人物たちとの掛け合いが、脱力感もありながら、独特の世界観が展開されていて、その中で家族愛や青春も、独自のペースで描いてみせた。

CREDIT

出演:上白石萌歌 細田佳央太
千葉雄大 古舘寛治 / 斉藤由貴 / 豊川悦司
監督:沖田修一 脚本:ふじきみつ彦 沖田修一

音楽:牛尾憲輔

原作:田島列島『子供はわかってあげない』(講談社モーニングKC刊)
企画・製作幹事:アミューズ 配給:日活 制作プロダクション:オフィス・シロウズ
C2020「子供はわかってあげない」製作委員会 C田島列島/講談社

8月20日(金)全国ロードショー/8 月 13 日テアトル新宿先行公開!

点数 77

この映画語らせて!ズバッと評論!!カテゴリの最新記事