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この映画語らせて!ズバッと評論!!『高野豆腐店の春』変わらなくても心地よい日々だけど、何か変えないといけない時期に差し掛かった親子の物語!!

この映画語らせて!ズバッと評論!!『高野豆腐店の春』変わらなくても心地よい日々だけど、何か変えないといけない時期に差し掛かった親子の物語!!

作品情報

尾道を舞台にした、小さな豆腐店の“父”と“娘”の物語。尾道の風情ある下町。その一角に店を構える高野豆腐店。夜が明ける前に、そっと明かりが灯り、愚直で職人気質な父・高野辰雄(藤竜也)と、明るく気立てのいい娘・春(麻生久美子)の一日が今日も始まる。こだわりの大豆からおいしい豆腐を二人三脚で作っていく毎日。お店の常連さん、昔ながらの仲間たちとの和やかな時間。そんな変わらない日々を過ごす父と娘だったが、それぞれに新しい出会いが訪れる──。

『高野豆腐店の春』レビュー

広島・尾道の商店街にぽつんとある小さくて昔ながらの豆腐屋「高野豆腐店」は、父と娘のふたりで切り盛りしながら、ごくごく当たり前かのように毎日が過ぎていく。

朝から豆腐を作って、休憩して、売って、残った豆腐で料理して……。

大型スーパーやショッピングモールの出店による商店街圧迫というのは、どこの地域も同じ。今やその大型店でさえもネットという驚異にさらされている中で、共通の敵というわけではないが、互いに存続していかなければならないという仲間意識が芽生え始めていて、販売経路も満足というわけではないが、それなりに、なんとなくだが共存関係も上手くいっている。

娘と一緒にいられて、一緒に働けることへの喜びもあるからこそ、このまま変わらない日々を過ごしたいと思う反面、娘の将来を考えて独り立ちさせないといけないという親としての使命も感じているし、自分自身も体がいつまで思うようになるかわからないという不安もある。

いつか行き止まりになってしまう前に、何か変えていけないとは思っているものの、その一歩がなかなか踏み出せない。

悩みというほど神経質には考えていないまでも、なんとなく将来をどうしようかという不安を抱えている人は多いはずだし、特に自営業ともなると、将来に対して、より考えることは多いはずだ。

思いっ切って商店街の仲間たちの協力も得て、娘の見合い相手を探すことにするが、それも上手くいってるのだか、いないのだか……。

全体的にほのぼのとしたコミカル・タッチな作品ではあるが、所々に現実の厳しさを痛感させられるようなこと、理不尽なことなども起きる中で、高野豆腐店の親子はどう生きていくのかを淡々と描いていく。

ここが素晴らしい!というほどのシーンはあまりないが、それも人生そのものを描いていると思うと、自然体な演出なのかもしれない。

点数 78

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