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発掘!未公開映画研究所『スーパーサイズ・ミー2:ホーリーチキン !』

発掘!未公開映画研究所『スーパーサイズ・ミー2:ホーリーチキン !』

作品情報

『スーパーサイズ・ミー』で一躍有名となった体当たり暴露系ドキュメンタリー監督モーガン・スパーロックが『スーパーサイズ・ミー』の続編として扱ったテーマは「チキン」と「ファーストフード店の起業」である。近年、変わりつつあめ国民の食に対する意識と実際に売れる商品を開発するということの温度差なども追及した前作のテイストとは、一風変わった社会派色の強い作品ではありながら、監督の皮肉とユーモアは相変わらず。

発掘!未公開映画研究所とは?

宗教性の問題、出演者の知名度、お笑いの感覚の違い…などなどの理由によって、日本では公開にいたらない作品が多く存在する。アカデミー賞にノミネートされている作品でも未公開作品は多い。

それもそうだろう、逆にアメリカやフランスで日本の映画が何でも公開されていると言えばそんなわけもなく、全体的に見て1割にも満たないだろう。

日本はそんな中でも割と海外の作品を公開している珍しい国であって、そんな中でもやっぱり公開されない映画というのは山のように存在する。

「発掘!未公開映画研究所」はそんな映画を発掘していくというもので、その中でも更に知名度が低いものを扱っていくつもりだが、必ずしも良作ばかりではない、中には内容がひど過ぎて公開できなかったものもあるのでご注意を!!

今回紹介するのは『スーパーサイズ・ミー:ホーリーチキン !』

幅広いテーマを扱い、実は社会派!モーガン・スパーロックとは?

30日間マクドナルドのメニューばかり食べ続けたら、人間はどうなってしまうのか..自分の体を実験台にした2004年のドキュメンタリー映画『スーパーサイズ・ミー』の続編を13年ぶりに製作した。

当時、ユーチューブ自体もそれほど知名度がなく、ユーチューバーなんて言葉もなかった時代に、今の体当たり系ユーチューバーのようなことをしていたのが、今作の監督であるモーガン・スパーロックである。

『スーパーサイズ・ミー』は日本でも話題とになり、テレビシリーズもリリースされたりしたが、その後日本では作品があまりリリースや公開がされなくなってしまい、死亡説まで流れたほどである。

都市中心部にはびこるネズミの歴史を紐解いた『Rats』などの社会派作品から、アイドルグループに密着した『ワン・ダイレクション THIS IS US』や『シンプソンズ』のホーマー・シンプソンを題材とした『Springfield of Dreams: The Legend of Homer Simpson』など幅広く活躍しているドキュメンタリー監督。実はリュック・ベッソン監督作品『レオン』のスタッフとして参加していた経歴もある

『スーパーサイズ・ミー』の影響でマクドナルドはスーパーサイズを廃止したいわれているが、マクドナルド側は映画の影響とは認めておらず、マクドナルド側の意見が全く不明なところに物足りなさを感じる作品ではあった。そもそも人間が30日間同じものを食べ続けたら健康状態に変化があるのは、あたりまえでもあるのだ。

しかし、そんな単純な実験の出オチネタ映画では決してないのが、モーガン・スパーロックの持ち味なのだ。

入り口があくまでマクドナルドであっただけであり、アメリカ人の抱える肥満問題やファーストフード店の闇の部分を浮き彫りにした作品でもあり、その後に扱う数々のネタも実は裏側に潜む問題点を描き出そうとしているものばかりだった。

短評

体当たり監督モーガン・スパーロックが『スーパーサイズ・ミー2』として扱う題材は、近年のファーストフード店では、サラダや豆腐などヘルシーなメニューが充実してイメージも変わりつつあるファーストフード店を自分が経営してしまおうと奮闘する起業ドキュメンタリーであるが、健康志向のメニュー開発や維持などがいかに大変かということに直面するという裏側も描いている。

マクドナルドはもちろん、バーガーキング、ウェンディーズ、ケンタッキー、サブウェイ、セブンイレブンなどなど実名や実商品名が飛び交うという訴訟を恐れないスタイルと皮肉的なユーモアは相変わらずである。

あまり健康志向に向きすぎていても、費用が掛かり過ぎるし、商品単価が高くなり、売れない…そこで目を付けたのチキンをメインとしたファーストフード店であったが、そこにも問題が発生してきたのだ。

グリルの方が健康的には、良いとは知っていてもフライにされたチキンの方を好む人が圧倒的に多く、グリルは統計上、圧倒的に不人気であった。

チキンを仕入れるにも、すでに卸をしているファームと大手ファーストフード店の独占契約が結ばれているため、新規参入がなかなか難しいという現状も突き刺さってくる。

そこでモーガンは、卸から仕入れるのではなく、自分でヒナから育てるという産地直送スタイルをとることに決定し、ヒナを大量に仕入れるのだが、ヒヨコ達が完全の物のような雑な扱いを受けている現状も知ることになる。

これは2005年のドキュメンタリー映画『いのちの食べ方』などでも扱われていたことでもあるが、改めて命を食べるというとを考えさせられる作品でもあるし、同時にアメリカにおけるファーストフード店の起業・マーケティング・市場分析といった経済的観点からも観ることのできる作品となっていて、前作よりも数倍社会派な内容となっている。

モーガンの作品はあまり日本で観ることができないが、ドキュメンタリー監督として、経験値を積んできたモーガン・スパーロックの今を知ることのできる作品と言ってもいいだろう

今作は2017年の作品で未公開のままであったが、現在Amazonプライムビデオで現在配信中である。

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