作品情報
史上もっとも有名なミュージカル、アンドリュー・ロイド=ウェーバー作の「キャッツ」。1981年、ロンドンのウエストエンドで初上演され、空前の大ヒットとなった。また、名曲ばかりの劇中歌のひとつ、“メモリー”は世界的にヒット
発掘!未公開映画研究所とは?
宗教性の問題、出演者の知名度、お笑いの感覚の違い…などなどの理由によって、日本では公開にいたらない作品が多く存在する。アカデミー賞にノミネートされている作品でも未公開作品は多い。
それもそうだろう、逆にアメリカやフランスで日本の映画が何でも公開されていると言えばそんなわけもなく、全体的に見て1割にも満たないだろう。
日本はそんな中でも割と海外の作品を公開している珍しい国であって、そんな中でもやっぱり公開されない映画というのは山のように存在する。
「発掘!未公開映画研究所」はそんな映画を発掘していくというもので、その中でも更に知名度が低いものを扱っていくつもりだが、必ずしも良作ばかりではない、中には内容がひど過ぎて公開できなかったものもあるのでご注意を!!
今回紹介するのは『キャッツ』
舞台を収録したビデオ映画版
AC/DCやピンク、マドンナ、デヴィッド・ボウイなどのミュージック・ビデオやライブDVDを監督してきたデヴィッド・マレットが1998年にミュージカル「キャッツ」の舞台公演をビデオ用に収録した作品。
90年代後半は劇団四季の知名度も上がってきており、キャッツは観ていなくても名前だけは知っているという人が多かったことから、日本でもリリースされた。
2020年ついにハリウッドで映画化されたわけだが、『ライオン・キング』『リトルマーメイド』などのブロードウェイ・ミュージカルでの動物の擬人化は作品というのは、原作ありきのものが多く、映画化するにあたっては原作のイメージを表現したらいいわけなのだ。例えばミュージカルでは人間が思いっきり顔を出してシンバを演じているわけだが、原作がアニメだからアニメを元にクリエイトすることができる。
しかし、このキャッツに関しては、原作自体が擬人化によるミュージカルであるため、人型のネコをどう映画化するかはかなりハードルが高い。思い切ってCGによるネコにしてしまうということもできないため、かなりビジュアルが難しくあの絶妙な人間とネコが融合した気持ち悪さを作り出してしまったわけだ。
舞台版のクオリティだから、おもしろく観れるわけで、リアリティのないものにリアリティを追求してしまったら...気持ち悪いのだ!!
何だか話が脱線してしまったが、この舞台版キャッツを収録したライブビデオ映画は正に舞台『キャッツ』の本質を楽しむ唯一の作品と言っていいだろう。ビデオ時代はプレミア化もされたが、今ではベスト版なんかも出て1000円ぐらいで買えてしまうので映画を観る前に是非、チェックしてもらいたい
ストーリーはシンプル。歌を楽しんで!!
『キャッツ』ってどんなストーリーかというと、ざっくり言うと「ネコの紹介」なのである。太ったネコ、マジックをするネコ、時計を気にするネコなどなど...色々なネコがいますよというのを歌を通して描いていくというシンプルストーリーなのだ。
そもそも映画化する様なストーリーというのはないのだ。映画版では、オリジナル主人公としてバレエダンサーのフランチェスカ・ヘイワード演じるヴィクトリアの視点で描かれるわけではあるが、あるようでないストーリーをカバーするのは楽曲の素晴らしさなのだ。
映画の前に今作をチェックして頭を柔らかくしてほしい。
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