ラジオ番組「バフィーの映画な話」Spotifyなどで毎週配信中!!

この映画語らせて!ズバッと評論!!『オートクチュール』ハイブランドで働く女性と郊外に住む女性、住む世界の違うふたりの交流を描く!!

この映画語らせて!ズバッと評論!!『オートクチュール』ハイブランドで働く女性と郊外に住む女性、住む世界の違うふたりの交流を描く!!

作品情報

ディオールのオートクチュール部門のアトリエ責任者であるエステルは、次のコレクションを終えたら退職する。準備に追われていたある朝、地下鉄で若い娘にハンドバッグをひったくられてしまう。犯人は郊外の団地から遠征してきたジャド。警察に突き出してもよかった。しかし、滑らかに動く指にドレスを縫い上げる才能を直感したエステルは、ジャドを見習いとしてアトリエに迎え入れる。時に反発しながらも、時に母娘のように、そして親友のように美の真髄を追い求め濃密な時間を過ごす二人だったが、ある朝エステルが倒れてしまう・・・。最後のショーは一週間後に迫っていた――。

『オートクチュール』レビュー

©2019 – LES FILMS DU 24 – LES PRODUCTIONS DU RENARD – LES PRODUCTIONS JOUROR

富裕層たちを相手にするディオールで働く女性エステルと、郊外に住む盗みで生計を立てていた女性ジャドという、住む世界の違うふたりが出会うことで展開される人間ドラマ。

華やかな世界で活躍するエステルであっても、様々な問題を抱えているの同じ。プレッシャーだったり、私生活に人に言えない悩みがあると感じたジャドが、交流を重ねるうちに、自身もディオールで働くことになり、生きる目的、存在価値を見出していくというサクセス・ストーリーの側面もある。

ファッション業界を描いた、サクセス・ストーリーとして有名な作品としては、『プラダを着た悪魔』という作品があるが、同作の場合、サクセス・ストーリーとしてのテンポ、ファッション業界にあるスピード感を大事としており、人間ドラマの部分はざっくりしている。

しかし今作は、どちらかというと、人間ドラマを重視した作品となっていて、環境の違う女性の間に芽生える友情や信頼といった、心の交流を描くという部分においては良いものの、監督のシルヴィー・オハヨンが小説家でもあることが影響しているのか、映画的サクセス・ストーリーとしての側面が薄れがちになっており、ジャドの人間としての成長はわかるのだが、業界人としての成長を感じるのが難しいものとなっている。

入り口としても、描いていることも、決して悪い作品ではないだけに、もう少しスパイスを加えて欲しかった部分もあるが、フランス映画の独特のテンポと割り切ってしまうと、そこも一周回って魅力なのかもしれない。

また、トレンドの移り変わりの激しく、常に時間との勝負であるハイファッション業界を描く上で、サクセスとドラマの中間的バランスにするのは、実際問題として、難しいのかもしれない。

仮にしたとしても、どっちつかずになってしまう気がするだけに、正直言って、観客によって、この手の作品のどこに魅力を見出すかによるのだろう。

とは言っても、実際にディオールの衣装デザイナーとして、『マリー・アントワネットに別れを告げて』『グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札』などの映画衣装も担当してきた、ジュスティーヌ・ヴィヴィアンが、今作にも参加しているだけに、もっと衣装が映える演出が欲しかったという勿体なさもある。

点数 77

©2019 – LES FILMS DU 24 – LES PRODUCTIONS DU RENARD – LES PRODUCTIONS JOUROR

この映画語らせて!ズバッと評論!!カテゴリの最新記事