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新作映画批評:『恋に至る病』(10月24日公開)

新作映画批評:『恋に至る病』(10月24日公開)

作品情報

【ストーリー】

内気な男子高校生・宮嶺と学校中の人気者・景。 不器用で一途な初恋、ふたりが交わした約束。 「どんな私でも守ってくれる?」 しかし、同級生の不審死が続発し、宮嶺は景に対して疑惑を抱く。 「もしかして君は、僕のために人を殺したの?」 殺人犯へと変わりゆく景。それでも、宮嶺の気持ちは変わらない。 やっぱり僕は君が好きだ―。 切なすぎるラスト4分。 《彼女の本心》が明かされる。

【クレジット】

出演:長尾謙杜 山田杏奈 醍醐虎汰朗 中井友望 中川 翼 上原あまね 小林桃子 井本彩花 真弓孟之(AmBitious) / 忍成修吾 河井青葉 / 前田敦子ほか

監督:廣木隆一 『月の満ち欠け』 

脚本:加藤正人 加藤結子

原作:斜線堂有紀『恋に至る病』(メディアワークス文庫/KADOKAWA刊)

音楽:加藤久貴

制作プロダクション:アスミック・エース ダブ 

配給:アスミック・エース

コピーライト:Ⓒ2025『恋に至る病』製作委員会 

映倫指定:PG-12

2025年10月24日(金)公開

この作品、何だか様子がおかしい……。すごく変な映画だ(良い意味で)

そして山田杏奈演じる寄河景の考えていることが、エンドロールになってもわからなかった。

今まで観たこともないような構成の作品だし、ある意味、難解な作品だった。演出のひとつひとつが、「どうして、そうしてるの?」と感じるような不自然なものが多い。

しかし、それが下手だからとか、映画に慣れてないからとか、そういった技術面の基礎の問題ではない。某宗教団体映画のような『月の満ち欠け』(2022)を撮っていたとはいえ、あえてそうしていることの意味を考えさせられるような、おかしなギミックが多かった。

同じ廣木隆一作品で例えるなら、『母性』(2022)と『ママレード・ボーイ』(2018)の両極端なものを組み合わせたようなテイストだ。

ストーリーも解るようで解らない。単純に好きになった相手が殺人鬼なのか~という物語ではなく、個人の承認欲求が異常に高くなってしまった現代社会の闇をひとつのテーマとしているのもわかるのだが、それだけではない奥深いものがあるように感じたのは、マインドコントロールをしようとしている人間が、逆にマインドを浸食されていくという多重構造の難解さが加わっているからだ。

……確かに恋愛ミステリー。

それは本気の恋に芽生えて、助けを求めているのか?それとも自分の人生を物語として、死を演出する狂気的なマインドの動機として利用されているのか?

予告が言うように”切なすぎるラスト4分”は、完全にミスリードではないだろうか。

総合評価:80点

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