作品情報
実話に基づく(!?)かもしれない物語。『ドント・ルック・アップ』は、12月10日 (金) より一部劇場で公開。12月24日 (金) よりNetflixで独占配信スタート。 『ドント・ルック・アップ』は2人の三流天文学者の物語。地球を破滅させる彗星が迫っていることを知った彼らは、人類に警告するためメディアツアーに乗り出すことに…。アダム・マッケイが監督と脚本を務める。
『ドント・ルック・アップ』レビュー
アダム・マッケイが監督・脚本という時点で社会・政治風刺色が強いのは言うまでもないが、今までにない豪華キャストでやってしまったおバカ映画!!
「俺たちニュースキャスター」シリーズもコメディ俳優が勢ぞろいの豪華作品ではあったものの、今回はレオナルド・ディカプリオ、メリル・ストリープ、ケイト・ブランシェット、ジェニファー・ローレンス、ティモシー・シャラメなどなど……アカデミー賞級の俳優陣を取り揃えてやってしまうところがNetflixの資金力の恐ろしさでもある。
タイラー・ペリーやジョナ・ヒルが辛うじてコメディ枠ではあるが、真面目な役をやるはずの俳優陣がおバカ全開ということ自体がひとつのギャグにもなっているから作品自体の外観からおもしろい。
これは今に始まったことではないが、SNSが普及したことで、真実よりもコーティングされたエンターテイメント性にしか人類が揺るがないという、とてつもない皮肉を描いているわけで、それが決してフィクションとは、いえないところが恐ろしいのだ。
例えば新型コロナウイルスにしても、視聴率のために、科学的、医学的根拠よりも、バカみたいに「今日の感染者〇〇人」と不安感を煽るメディア、一方で極端な陰謀論で中立的である事実が霞んでしまう両極端な世界に生きていいる私たち、そしてそれが視聴率やPV数、発信者の知名度、カリスマ性などでしか判断できなくなっている現代人の腐敗も描いていて、何より恐ろしいのは、ここまで俯瞰で見せているというのに、それが自分にもあてはまると感じることができない者たちがいかに多いかということなのだ。
真実が伝わらない世界で、真実を伝える難しさを描いていて、科学的根拠の全くない『アルマゲドン』や『ディープ・インパクト』のようなディザスターよりもよっぽどリアリティのある物語だといえるだろう。
何度も例にして悪いが、『アルマゲドン』みたいに、あんな短期間で惑星崩壊レベルの巨大な隕石や彗星をどうにかできる技術は現代人にはなく、人間が気づいた頃には、全てが遅いということ。
それを知らせたことで、仮に国がすぐに動いてくれたとしても、結局は無理で、受け入れるしかない……ここもリアル。
ただひとつ残念だったのは、ジェニファー・ローレンスのモノマネが得意なアリアナ・グランデが出演しているのだから、本人の前でモノマネするシーンを入れてほしかった。
点数 85
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