作品情報
【ストーリー】
ラーンチー発ニューデリー行きの特急寝台列車が、40人の武装強盗一族に襲撃された。刀を振りかざし、乗客から根こそぎ金品を奪う一味の強欲なリーダー、ファニは、大富豪タークルとその娘トゥリカに目をつけ、身代金目的の誘拐をもくろむ。しかしこの列車には、トゥリカと永遠の愛を誓い合った対テロ特殊部隊の隊員アムリトも乗り合わせていた。軍隊仕込みの格闘術でトゥリカとその家族を救出したアムリトは、圧倒的に数で勝る敵との全面戦争になだれ込んでいく。やがてノンストップで走り続ける列車内は阿鼻叫喚の地獄と化し、誰にも想像しえない事態へと突き進んでいくのだった……。
【クレジット】
監督・脚本:ニキル・ナゲシュ・バート
プロデューサー:グニート・モーンガー「めぐり逢わせのお弁当」「エレファント・ウィスパラー : 聖なる象との絆」(アカデミー賞®受賞)
アクション監督:オ・セヨン「パラサイト半地下の家族」「アベンジャーズ/エイジ ・ オブ・ウルトロン」
出演:ラクシャ、ターニャ・マニクタラ、ラガヴ・ジュヤル
インド/2024年/105分/ヒンディー語/カラー/5.1ch/原題:KILL/日本語字幕:福永詩乃/R15+
配給:松竹
© 2024 BY DHARMA PRODUCTIONS PVT. LTD. & SIKHYA ENTERTAINMENT PVT. LTD.
11 月14 日(金)、新宿ピカデリーほか全国公開

「ポロス~古代インド英雄伝~」のラクシャと「トゥース・フェアリー ~恋のヒト噛み~」のターニャ・マニクタラというスタードラマ俳優が共演するバイオレンス・アクション。
ちなみに「Criminal Justice: Behind Closed Doors」などで注目されるZ世代女優のアドリア・シンハーも出演しており、こちらもドラマ俳優だ。
適役は『ストリート・ダンサー』や『Kisi Ka Bhai Kisi Ki Jaan』などの映画にも多く出演するラガヴ・ジュヤルではあるが、こちらもダンス系のオーディション番組の司会や審査員、先日配信が開始されたZEE5オリジナルドラマ「Gyaarah Gyaarah」など、テレビ界のイメージの方が強い。
配信サービスの影響で知名度が増した中間的な立ち位置にいるドラマ俳優を起用することで、なかなか攻めた企画を実現させやすくなっているのだろう。
今後も中間的な予算と攻めた内容の場合は、ドラマ俳優は重宝されていくはずだ。
アクション監督のオ・セヨンは、『WAR ウォー!!』や『ファイター』といったレーティングを下げたボリウッドの大衆的なアクション作品には参加しているものの、もともとは『花嫁はギャングスター』や『神弓-KAMIYUMI-』、最近だとNetflixドラマ「今、私たちの学校は…」といった韓国エンタメ界からインドエンタメへの参戦組のひとりということもあり、こういったバイオレンスをインドでもやってみたかったのだろう。アクションシーンが活き活きとしている。
約1時間半というスマートな作品ではあるが、監督のニキル・ナゲシュ・バートは、基本的に2時間以内の映画を撮る監督として知られており、プロットの組み立て方がもともと欧米的なのである。
ストーリーは実にシンプル。電車内の横スクロールアクションがほとんどの映画ではあるが、そのなかで巻き起こる殺戮ショーの間にある小さなドラマで感動するシーンもあったりと、短い中によく詰め込まれているし、セリフがあまり無くてもバックボーンが見えてくるサブキャラクター構造が見事。
ゴア描写も満載ではあるが、一周回って、暴力って何だろう?と改めて思ってしまう。
消火器で跡形がなくなるほど頭をぐちゃぐちゃにするシーンなんてインド映画で観たことあったっけ~と思ったけど、配信系だといくつかは思いつくが少数派だし、ぼかし処理されている。
重要なネタバレになってしまうため、詳細は言えないのだが、タイトルの出し方がとにかく悪趣味。
愛する人を守るために闘うヒーローの話かと思っていると、そこで何かが違うことに気付くはずだ。
ミュージックビデオもいくつか公開されており、映画を観ないで観るとラブソングのように思える曲も、観た後では意味合いが変わってくるだろう。
さらに踏み込んだレビュー、そして血みどろインドエンタメの最前線事情に関しては、10月21日発売の「映画秘宝」12月号で10ページにわたって解説している!!
そしてさらに「映画秘宝」1月号では、ニキル監督・オ・セヨンのインタビューも掲載!どちらもかなり濃い内容!!!!!!
総合評価:84点



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