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この映画語らせて!ズバッと評論!!『ハウス・オブ・グッチ』一流ブランドの知られざる裏側!銃が出てこないだけでマフィアの抗争と同じだ!!

この映画語らせて!ズバッと評論!!『ハウス・オブ・グッチ』一流ブランドの知られざる裏側!銃が出てこないだけでマフィアの抗争と同じだ!!

作品情報

グッチ家の崩壊のきっかけとなる謎めいた運命の女性に、レディー・ガガ主演。 監督はハリウッドの巨匠リドリー・スコット、GUCCIの豪華衣装も主役級! 1995年3月27日ミラノで多くの目撃者がいる中、銃声が街に響き渡る。殺害されたのは、世界的なトップブランドの元祖と呼ばれるGUCCI創業者グッチオ・グッチの孫にあたる3代目社長マウリツィオ・グッチ。犯人が特定できない状況が続く中、その実行犯の黒幕が明かされる。それは妻のパトリツィア・レッジャーニだった―。

『ハウス・オブ・グッチ』レビュー

イタリアのファッションブランド「グッチ」は、その名の通りももともとは、グッチオ・グッチによって設立され、その後もグッチ一族によって引き継がれた企業であった。しかし、現在は「グッチ」というブランドにグッチ一族はひとりもいない。

企業の歴史を辿ると、創業者一族が誰もいなくなっているということは、決して珍しい話ではないが、これほどまでに劇的な結末を迎えた企業も珍しい。

今作は史実として、1995年に起きたパトリツィア・グッチによる、夫マウリツィオ・グッチ暗殺事件を描きながら、パトリツィアの目線で描かれる。

リドリー・スコットとしては、『ゲティ家の身代金』に続いての実話ベースの作品となる。

誰を味方につけ、誰を敵とみなす、誰が信用できる相手か見抜く……いった駆引きは、剣や銃が出てこないだけで『グラディエーター』や『最後の決闘裁判』『アメリカン・ギャングスター』など、多くの駆引きによる心理描写を描き続けてきたリドリー作品と共通するものも多く感じられるし、リドリーが監督に選ばれた要因のひとつであるだろう。

事件のこともあって、世間一般的には、財産目当てで近づいたとされているパトリツィアではあるが、 夫婦関係については、俯瞰的に第三者の視点から読み取ることしかできない。

そのため、サラ・ゲイ・フォーデンの原作小説同様に、実際は謎に包まれている部分も多く、今作で描かれていることがフィクション混じりで、どこまでが真実なのはわからないまでも、描き方としては、そこには愛は存在しており、グッチという大きな存在によって運命を翻弄された男女の物語としている。

レディー・ガガの見事な演技がそう感じさせているのかもしれないが、きっかけは何にせよ、愛の芽生えと出発点は同じであったはずが、 欲に溺れた女、愛に溺れた男の運命として、異なるかたちで枝分かれした悲劇にも感じられる。

結果的にグッチ一族を崩壊に導いてしまったのは、パトリツィアとマウリツィオではあるが、 グッチという大きすぎる存在によって、人間性までも見失ってしまったという点においては、ふたりもまた被害者といえるのかもしれない。

時代の変化、トレンドの変化をデザイン性による変化として見せるには、一般的に理解しにくい部分があることから、音楽によって時代の変化を表現している点は、工夫がみられる。だからこそ是非、音楽の使い方にも注目してもらいたい。

点数 82

監督:リドリー・スコット
脚本:ベッキー・ジョンストンロベルト・ベンティベーニャ
原作:サラ・ゲイ・フォーデン『ハウス・オブ・グッチ 上・下』(実川元子訳、ハヤカワ文庫、2021年12月刊行予定)
製作:リドリー・スコットジャンニーナ・スコットケヴィン・J・ウォルシュマーク・ハッファム
出演:レディー・ガガアダム・ドライバーアル・パチーノジャレッド・レトジェレミー・アイアンズサルマ・ハエックほか
原題:HOUSE OF GUCCI
北米公開日:2021年11月24日(水)
配給:東宝東和 
コピーライト:ⓒ  2021 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. ALL RIGHTS RESERVED.  
公式サイト:house-of-gucci.jp  公式Twitter:@HouseOfGucci_JP  公式Facebook:@universal.eiga
公式Instagram:@universal_eiga

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