作品情報
『俺たちニュースキャスター』『俺たちステップ・ブラザース -義兄弟-』のウィル・フェレル&アダム・マッケイ監督が再びタッグを組み、アメリカで人気のモーターカーレース「NASCAR(ナスカー)」を題材に描いたコメディ。NASCARのトップレーサーにのぼりつめたリッキー・ボビーは、富も名声も手に入れ順風満帆の毎日を送っていた。そんなある日、フランスのF1レーサー、ジャン・ジラールがNASCARに進出。ジャンとのレース中に起こした大事故により、リッキーの人生はどん底へと落ちていく。
発掘!未公開映画研究所とは?
宗教性の問題、出演者の知名度、お笑いの感覚の違い…などなどの理由によって、日本では公開にいたらない作品が多く存在する。アカデミー賞にノミネートされている作品でも未公開作品は多い。
それもそうだろう、逆にアメリカやフランスで日本の映画が何でも公開されていると言えばそんなわけもなく、全体的に見て1割にも満たないだろう。
日本はそんな中でも割と海外の作品を公開している珍しい国であって、そんな中でもやっぱり公開されない映画というのは山のように存在する。
「発掘!未公開映画研究所」はそんな映画を発掘していくというもので、その中でも更に知名度が低いものを扱っていくつもりだが、必ずしも良作ばかりではない、中には内容がひど過ぎて公開できなかったものもあるのでご注意を!!
今回紹介するのは『タラデガ・ナイト オーバルの狼』
獰猛なはずのクーガーが温厚過ぎた
リッキーがレースへの恐怖心をなくすため、クーガーを同乗させて車を運転するというシーンがある。
このシーンに登場するクーガーは合成ではなく、本物を使っている。
日本ではピューマという名前のほうが知られているが、地域によってはアメリカライオンとも呼ばれているネコ科の大型動物である。
行動範囲が広いため、アメリカの住宅地に現れて襲われたという被害が多くはないが、年に数回は発生している。
基本的には温厚で刺激したり、威嚇したりしなければ大丈夫な場合もある。そんなクーガーの特徴を反映させることで、落ち着いていれば襲われないという状況下で冷静を保てるかという特訓方法ではあるが、それでも獰猛だという印象をあたえたかった。
しかし、撮影に使われたクーガーは、とてもおとなしく温厚であったために、音響によって獰猛にみせているのだ。
『カーズ』の影響で一部撮り直しに
劇中でウィル・フェレルとジョン・C・ライリーの間の決まり文句として使用されている「シェイク&ベイク」だが、撮影中は「サンダー&ライトニング」であった。
しかし、撮影後にディズニー映画『カーズ』の主人公がライトニングだと知ったアダム・マッケイが「シェイク&ベイク」に変更して撮り直したのだ。
短評
『バイス』や『マネー・ショート』など最近はすっかり政治色、経済色の強いコメディ作品が印象強いアダム・マッケイが手掛けた2006年のおバカ度MAXな映画。日本では毎度のことながら、アメリカのコメディの受けが悪いのと、ウィル・フェレルの知名度によるものであるが、今作はコメディとしても1本の映画としても、バランスがとても良い。
自信家で何故かイケメン的扱いを受けながら、おバカすぎるという典型的なウィル・フェレルのキャラクター像を維持しながら、レーサーとしての栄光からの転落によって、再起を目指すという王道的サクセスストーリーをしっかりと描いているのと同時に、レースシーンにも手を抜いておらず、所々で本当に真面目なレース映画と勘違いしてしまいそうになる。
その後に『俺たちステップ・ブラザース -義兄弟-』『俺たちホームズ&ワトソン』などでも共演することになるジョン・C・ライリーとの相性も抜群ではあるが、サシャ・バロン・コーエンとの相性も良いと思うが、その後の共演といえば『俺たちニュースキャスター 史上最低!?の視聴率バトルinニューヨーク』で最終バトルシーンのみというのは残念でならない。
ちなみに男同士でのキスシーンもあり、MTVムービーアワードのベストキスシーン賞に選ばれた。
ウィル・フェレルとアダム・マッケイのパートナーシップは2019年に解消されてしまったが、たまには、政治色や経済色のないおバカなコメディでウィル・フェレルとサシャ・バロン・コーエンの再共演を観てみたいものだ。
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