作品情報
世界が未曾有のコロナ禍に陥る中、国民の命と激動の時代の舵取りは、この男に託された。『新聞記者』『i-新聞記者ドキュメント-』などを手掛けるスターサンズが、満を持して“今、一番日本人が知りたいこと”菅首相の素顔(スガオ)に迫るドキュメンタリーを制作しました。かつては官房長官時代の「令和おじさん」や首相就任直後の「パンケーキ懇談会」といった印象から、昨今では五輪やコロナ禍への対応などに対する不安視の声もあるが、実のところ何を考えているのか、どういう政治家なのかは意外に知られていない。“もしかしたら我々は実体のない男に日本を預けてしまったのではないか?”。
先取り版とは?
私、映画評論家バフィーがマスコミ試写でいち早く観て評論する先取り版です。通常回では、公開日もしくは前後に更新していますが、量が多いので先取りもしていきたいと思いますが、基本的にネタバレを垂れ流して映画自体を観なくてもいいような評論はしません。
究極な駄作だったとしても…
『パンケーキを毒見する』レビュー
菅さん自身、パンケーキがここまでディスり倒されるとは想像もしていなかっただろう…ついには映画のタイトルにもなってしまっていて、可哀そうにも思えてしまう。
『i-新聞記者ドキュメント』にも共通して感じられる点は、いかに世間には、メディアによって「ろ過」された情報が溢れ、それが真実として、まかり通っていることへの問題提示であるということ。
しかし、映画も一種のメディアであり、ドキュメンタリーというジャンルそのものが、やや偏った視点によって構成されているだけに、今作が真実だと真正面に受け入れることも危険である。
例えばアメリカ大統領選においては、共和党と民主党それぞれの支持者によって、もしくはテレビ局自体が、それぞれの偏ったドキュメンタリーを制作し、足の引っ張り合いをする。ゴールデイタイムのお笑い番組も政治ネタを多く取り入れていれているほどだ。
ところが日本の場合は、SNSの普及で変わりつつあるといっても、メディアが偏り過ぎていて、国民自身がどちらを正しいかを考える文化というのが、あまり定着していない。
だからこそ、ポップな風刺アニメーションによって、政治ドキュメンタリーとしてのハードルを低くすることで、幅広い層に観やすい構成がされていることは、とても大事なことではある。
今作を信じ切ってしまうことは危険ではあるが、国民、とくに政治に感心のないといわれる若い世代が、日本という国のアンバランスさに気づいて、少しでも興味をもってもらう、ひとつの考える材料を提供するという点においては機能している。
何より過去の出来事ではなく、現役首相を取り上げた「今」に直結するものだけに、その効力は絶大と言えるだろう。
『i-新聞記者ドキュメント』と比べてしまうと、どうしてもスタイリッシュという点では劣ってしまっている。これは扱っている事件や政治問題の内容がどうこうという点ではなく、『i-新聞記者ドキュメント』の場合は望月衣塑子という記者の取材スタイルや、ひとりの母としての姿に焦点が当たっていたため、エンターテイメント色という点では勝っていたものの、それがドキュメンタリーというジャンルにおいて正解なのかと言われれば疑問ではあるが
CREDIT
企画・製作・エグゼクティブプロデューサー:河村光席
監督:内山雄人
音楽:三浦良明大山純(ストレイテナー) アニメーション:べんぴねこ
ナレーター:古館寛治
2021年/日本映画/104分/カラー/ビスタ/ステレオ
制作:テレビマンユニオン配給:スターサンズ配給協力:KADOKAWA
ⓒ2021「パンケーキを見する」製作委員会
点数 70
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