今までにケリー・クラークソン主演の映画『アメリカン・スター』などの様にオーディション番組から生まれた映画や、『ワンチャンス』『歌声にのった少年』の様にオーディション番組で有名になったスターの伝記的映画の中に盛り込む形での作品はいくつも制作されてきたが、特定のモデルが存在しないオーディション番組自体を題材に映画化した作品は意外と少ない。
2006年にマンディ・ムーア主演で『アメリカン・アイドル』をパロディ化した映画『アメリカン・ドリームズ』というのはあったが、この作品はあくまでコメディ作品であって音楽映画ではない。しかし、今作はブレッド・バーガー、マリウス・デ・ヴリーズ、スティーヴン・キジッキの『ラ・ラ・ランド』製作チームが再集結して本格的音楽映画として作り上げたのがこの作品『ティーンスピリット』だ。
ジェニファー・ハドソンやドートリー、アダム・ランバートなど大物アーティストを世に送り出してきた『アメリカン・アイドル』、ワン・ダイレクション、リトルミックスなど日本でも知名度の高いアイドルグループからミュージカル『ボディーガード』では主演を務めるアレクサンドラ・バークの『Xファクター』、ゆりあんレトリーバーが出場して話題にもなった『アメリカズ・ゴッドタレント』、このサイトでも特集として取り上げた『The Voice』とオーディション番組戦国時代によって、歌手への道は多く開かれたものの、それと同時にライバルも量産してしまっているという甘くない世界をエル・ファニグ演じる田舎町の少女ヴァイオレットの視点を通してセンセーショナルでスタイリッシュに描かれる。
エル・ファニングはこの映画のために3カ月のトレーニングを受けて挑んでいるため、映画で使われている歌声は吹替えなしの正真正銘のエル・ファニングの歌声。番組のテイストからなのか、テクノポップの曲が多いのは少し残念ではあるが、予告でも使用されている『トワイライト・サーガ:ブレイキング・ドーン2』のエンディング・テーマでも知られるエリー・ゴールディングのヒット曲「Lights」のカバーは話題となっている。
監督は『イングリッシュ・ペイシェント』『コールド・マウンテン』などで知られる巨匠アンソニー・ミンゲラを親にもち、『シリアナ』『綴り字のシーズン』などに出演していた元子役、『クロール 凶暴領域』のアレクサンドル・アジャ監督作品『ルイの9番目の人生』では脚本も務めたマックス・ミンゲラ
『ティーンスピリット』は2020年1月10日から日本公開予定
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