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この映画語らせて!ズバッと評論!!『クロール 凶暴領域』新感覚の自然災害×アニマルパニック?

作品情報

最大級のハリケーンに見舞われたフロリダを舞台に、凶暴なワニの巣窟と化した家に閉じ込められた父娘の運命を描いたサバイバルスリラー。大学競泳選手のヘイリーは、疎遠になっていた父が、巨大ハリケーンに襲われた故郷フロリダで連絡が取れなくなっていることを知る。父を捜しに実家へ向かったヘイリーは、地下室で重傷を負って気絶している父を発見。しかしその瞬間、背後から何者かに襲われ、地下室の奥へと引きずり込まれてしまう。浸水のタイムリミットが迫る中、大量発生したワニのテリトリーとなった思い出の我が家から、負傷した父とともに脱出を図るヘイリーだったが……。主人公ヘイリーを『パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊』『メイズランナー』のカヤ・スコデラーリオ、彼女の父を『プライベート・ライアン』のバリー・ペッパーが演じる。『ドント・ブリーズ』『スパイダーマン』のサム・ライミ製作のもと、『ヒルズ・ハブ・アイズ』『ハイテンション』のアレクサンドル・アジャ監督がメガホンをとった。

『クロール 凶暴領域』レビュー

新感覚の自然災害×アニマルパニック?

『ハイテンション』『ピラニア3D』などホラーを多く手がけ、日本の漫画『コブラ』のハリウッド映画化の監督も予定されているアレクサンドラ・アジャの最新作。

主演には日本では劇場公開されるNetflix映画『テッド・バンディ』にも出演しているカヤ・スコデラーリオと 『プライベート・ライアン』『グリーンマイル』などに出演しているバリー・ペッパーと犬のチョチョと出演俳優は極端に少ない映画で有名俳優を起用しているわけではない。

20年以上映画を撮り続けているアレクサンドラ・アジャだが、成長があまり見られない監督でもある。3D映画ブームの波に乗って製作された『ピラニア』のリメイク『ピラニア3D』の時にこの映画が製作されたのだとすれば、納得できる内容ではあるが、それから10年後でもアトラクション映画の域を抜け出せていないアレクサンドル・アジャにはがっかりしたし、脚本が酷過ぎる。

この映画の内容は文章にしたら2行ぐらいしかない「嵐でワニが逃げ出して、家に侵入し回りにも数匹いるからどう逃げる?」それだけ。

主人公の葛藤、父との関係性...全て薄い

冒頭の主人公ヘイリーの水泳シーン、家族への葛藤、父の家への執着...どれも描き方が中途半端で水泳を今後も続けていくべきなのかと葛藤していたヘイリーの答えが見えてこない。ワニに数箇所噛まれて、水泳が続けられるのかもわからない状態のまま映画が終わってしまって、この経験がヘイリーの水泳選手としての成長につながるという方向性に何故持っていかなかったのかが疑問だ。

ワニと競争して自信がついたなんてオチでもよかったのではないだろうか。

どうやってワニが現れたかを何故描かない?

そもそもこの映画、ワニがどうして現れたのかがはっきりしていない。嵐が発生して、みんな非難していて、その区域内にワニ園があるということで意味深にワニ園の看板を見るシーンがあるから、おそらくワニ園からワニが逃げたということなのだろうが、その過程が全く描かれていない。

どうやって逃げたかなんてシーンは、言うまでもなく映画として最低限描くシーンであって、どんなテレビ映画でもパチもんみたいなB級モンスター・パニックですら描かれるシーンである。仮に名前だけでもサム・ライミが製作に関わっているというのに、こんな粗末なストーリー展開でいいのだろうか?

父親をかつて家族で住んでいた昔の家に探しにきた時点では、まだ嵐は浅く、車が走れる状態。その時点ですでに父親はワニに襲われている...おかしくないだろうか?その後、嵐によって水没、堤防の決壊が起きることによって、ワニが逃げ出すというのなら、まだ理解できるだが、まだ浅い嵐の中でワニが逃げ出して家の地下室にいるなんて状況が不自然すぎるし、そんな嵐の状況でワニが逃げられるワニ園って...どんな杜撰な管理体制なのだろうか?普段からしょっちゅう事故が起きてるのではないだろうか。

それともこの地域は普段からワニが大量に生息するという場所なのだろうか。 フロリダと言えば、たびたびワニが出没したりするニュースがあるが、 それならワニ園の看板を映す必要性もないだけに、謎すぎる。ただ観ている側を混乱させる要因でしかない。

つじつまが合わないから、あえてワニの逃げ出す過程を描かなかったとしたら、観客をバカにしているとしか思えない。ワニがたくさん出てきて怖いから殺し屋がただひちすら人を殺すアクション映画や車がただ暴走するアクション映画があるから、これでもいいでしょと言われている様だし、製作サイドが作品自体をはじめから雑に扱っている気がする。

パニック映画として最低限の説明責任を果たしてほしい。

犬好きの人は安心してほしい!!

あえてよかった点は犬が死ななかったところ。生物パニック系やホラー映画だと一番最初に見せしめに犬や猫が殺されるというシーンが多いが、この映画では犬がかんばっている。

ただ活躍はしない...ワニに攻撃を加えるとか荷物をどかしてくれるとかしてくれるかと思ったけど、ひたすら吠えているだけというバカ犬ぶりだが生きていてよかった。

おそらく犬のシュガーを演じているチョチョは俳優と並んでクレジットされているほどだから、そこそこ有名なタレント犬なんだろうと思う。だから殺さなかったのかな?

点数 50点

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