作品情報
かわいらしい見た目とは裏腹に残忍な殺人を繰り返す恐怖の人形チャッキーを描き、1988年の第1作以降、計7作品が製作されてきた人気ホラーシリーズ『チャイルド・プレイ』をリブート。引越し先で友達のいない少年アンディは、誕生日に母親から人形をプレゼントされる。その人形には、音声認識センサーや高解像度画像認識機能などが備えられ、スマートフォンアプリと連携して操作も可能という、最先端の技術が盛り込まれていた。人形をチャッキーと名づけて一緒に暮らし始めたアンディだったが、次第に周辺で異変が起こり始めて……。チャッキーの声を、「スター・ウォーズ」のルーク・スカイウォーカー役で知られるマーク・ハミルが担当した。大ヒットホラー「IT イット “それ”が見えたら、終わり。」を手がけたプロデューサーのセス・グラハム=スミスとデビッド・カッツェンバーグが製作。
『チャイルド・プレイ』レビュー
魂が乗り移るというオカルトからAIの暴走という現実的恐怖にシフトチェンジ
オリジナルの1988年版『チャイルド・プレイ』は殺人鬼チゥールズ・リー・レイがグッドガイ人形にハイチアン・ブードゥーの呪文で魂を憑依させるというオカルト的なものだったのに対して、今回のリブート版『チャイルド・プレイ』ではベトナムの工場で働いていた男が上司にイラついて逆恨みでバディ人形のプログラムに細工したことが発端であり、チャッキー暴走のプロセスには一切のオカルト的要素が関わらない。
バディ人形とはAIが搭載された学習機能を持ち、アレクサやグーグル・ホームの様な家電の操作も一括でできてしまう機能も兼ね備えているハイテク人形。
つまり現実問題として広まりつつある、AIシステムがもし暴走したら…間違ったものを学習したら…という現代人の身近な恐怖、便利化されすぎていることに対して警鐘を鳴らした様なテイストの作品にシフトチェンジされていて、オリジナルの『チャイルド・プレイ』とは大まかな設定以外は全くの別物になっている。
ありえない!!って言えないことが怖い
ベトナムの工場のおじさんの逆恨みが事の発端というのには、先行きの不安感がMAXだったが、逆に言えばちょっと細工しただけで殺人マシンにもなり得るものをプログラムの知識がある人なら作れてしまうという時代になってしまったという便利化されかぎてきてしまっているからこそ、生み出される先端を行く殺人鬼や霊的なものとは全く別の未体験恐怖。
決して遠い未来ではなく、SF的設定でもない…というのが怖すぎるし、劇中で『悪魔のいけにえ2』を子供たちが見ていて、チャッキーが学習してしまうという恐怖。よりによって『悪魔のいけにえ2』というチョイス…ホラーは教育にはよくないという自虐的皮肉なのだろうか…
人型のAI搭載ドールが今後一般化されてきたらありえないこととは言い切れない。家電や生活に身近なものを簡単に操作できてしまうということへの恐怖も描いている。
マーク・ハミルの声が不気味すぎる
チャッキーというかバディ人形の声を担当しているのは、『スター・ウォーズ』でルーク・スカイウォーカーを演じているマーク・ハミル。
そもそも可愛くない見た目でおじさんの声の人形が何故人気になるのかという疑問は置いといて、マーク・ハミルのちょっとかすれた声が不気味すぎる。
アニメ版「バットマン」のジョーカーやゲームなどの声優もこなしているマーク・ハミルだが、監督のラース・グレヴバーグから直接手紙をもらったことがきっかけだったとか
シリーズ化の可能性は?
この作品で判明したことはバディ人形というのは、プログラムを書き換えることで暴力的な行動をさせることができるということで、同じ様な事例が発生しないとは言えない状態ではあるし、オリジナルの魂を憑依させるというオカルト的設定とは真逆なのに、ある意味オリジナルの設定に現代的にリンクしている部分もある。
クライマックスシーンでは、別のバディ人形を暴走させていたことで、バディ人形さえあれば無限増殖も可能ということも判明した。
この設定だと、続編を作ろうと思えばどうにでも作れてしまうため、シリーズ化は今回の成績によるだろう。
一方ではオリジナル版のチャッキーの物語をドラマ化する企画も進行中ということで『チャイルド・プレイ』の世界観まだまだは広がっていくだろう。
いつか今回のチャッキーとオリジナル版チャッキーの対決も観てみたい。
点数 70点
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