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この映画語らせて!ズバッと評論!!『鬼手』賭博漫画的世界観ながらも緊張感と爽快感の絶妙なバランス!!

この映画語らせて!ズバッと評論!!『鬼手』賭博漫画的世界観ながらも緊張感と爽快感の絶妙なバランス!!

作品情報

『探偵なふたり』『火山高』のクォン・サンウ演じる孤高の天才棋士が囲碁バトルを繰り広げるバイオレンスノワール。父が自死し、母にも捨てられた貧しい少年グィス。最愛の姉をも失い、天涯孤独の身になったグィスが厳しい現実を生き抜く唯一の手段は、生前に父から伝授された囲碁だった。ある一匹狼の棋士にその才能を見込まれたグィスは、山寺での猛特訓によりその潜在力を開花し、心身ともにたくましい大人へと成長する。下山後、数々の裏社会の凄腕棋士たちを撃破したギスは、姉を死に追いやった最強棋士ファン・ドギョンへの復讐を果たすため、人生のすべてを懸けた戦いに身を投じる。クォン・サンウがグィスを演じるほか、『アジョシ』『泣く男』のキム・ヒウォン、『ゴールデンスランバー
』『悪いやつら』のキム・ソンギュン、『犯罪都市』『王になった男』のホ・ソンテ、『ザ・キング 永遠の君主』『私の国』のウ・ドファン、『幼い依頼人』『シークレット・ミッション』のウォン・ヒョンジュンらが顔をそろえる。

『鬼手』レビュー

2014年に公開されたチョン・ウソン主演映画『神の一手』の続編兼スピンオフとして製作された今作は、『神の一手』で姿は現さなかった謎のキャラクター「グィス」を主人公としている。

題材となるのは、前作と同様に裏社会の賭け囲碁ではあるし、アンダーグラウンドな雰囲気は残しつつも、梶原一騎の劇画漫画チックな個性豊かなキャラクターや命がけの賭けといった『カイジ』のような世界観が前作よりも強調されており、特別繋がってもいないだけに、前作を観ていなくても全く影響はないだろう。

前作から改善された部分としては、最終的に「暴力」という印象が強かったが、今作はあくまで囲碁を中心としたバトルが描かれていて、相変わらずヤクザ映画のような暴力シーンやクォン・サンウの肉体美を披露したいがためのアクションシーンはあるものの、碁石を使ったり、闘いのフィールドが碁盤のようなタイルのあるトイレだったりと、無理やりにでも囲碁に寄せているのはバカらしくも徹底していて良かった。

個人的に囲碁の知識が全くないのだが、漫画的世界観ではあっても緊張感は維持されており、手に汗握る展開の数々と、目的の敵を倒すことでグィスの心の中の壁を突破しているような成長過程、復讐には復讐がつきまとうという不の連鎖を感じさせる、『キル・ビル』のようでもあり、いかにも韓国作品といった演出も見事なだけに、ラストの姉の敵で最大の敵であるファン・ドギョンとの対決シーンが残念でならない。

クライマックスまでは、娯楽作としてもノワールとしても時間を感じさせず、楽しませてもらえるのだが、肝心のラストバトルの演出がどうも消化不良でならない。

例えばテレビの中継を入れたりすることで、ファンの過去に起こした悪事を世間に暴露することで世間的に殺すことでスッキリさせてもらいたいところだが、スッキリすることは間違いないにしても、このやり方では、ファンの悪事は世間には知られていないだけに、あくまでグィスは犯罪者という印象しか世間やファンの家族に残すことしかできず、また復讐の連鎖を起こさせてしまう。

続編のために伏線を残したのかもしれないが、ラストまで順調に緊張感と爽快感のバランスを維持できていただけに、残念でならない。

点数 80点

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