作品情報
『カノン』『アレックス』『LOVE 3D』などさまざまな問題作を手がけてきたフランスの鬼才ギャスパー・ノエが、ドラッグと酒でトランス状態になったダンサーたちの狂乱の一夜を描いた異色作。1996年のある夜、人里離れた建物に集まった22人のダンサーたち。有名振付家の呼びかけで選ばれた彼らは、アメリカ公演のための最終リハーサルをおこなっていた。激しいリハーサルを終えて、ダンサーたちの打ち上げパーティがスタートする。大きなボールに注がれたサングリアを浴びるように飲みながら、爆音で流れる音楽に身をゆだねるダンサーたち。しかし、サングリアに何者かが混入したLSDの効果により、ダンサーたちは次第にトランス状態へと堕ちていく。『ザ・マミー 呪われた砂漠の王女』『キングスマン』のソフィア・ブテラ以外のキャストはプロのダンサーたちが出演し、劇中曲として「ダフト・パンク」「ザ・ローリング・ストーンズ」「エイフェックス・ツイン」などの楽曲が作品を盛り上げる。
『CLIMAX クライマックス』レビュー
鬼才ギャスパー・ノエ作品では比較的マイルド

『アレックス』や『エンター・ザ・ヴォイド』など毎回のように地獄ような映像ながら、その中にアートセンスをここぞとまでに詰め込んでくる変態監督ギャスパー・ノエの新作。
個人的にはギャスパー・ノエの作品は映画館で観たのは、初めてではあったが今までの作品は短編以外は全て観ているが、誰もが好きと言える作品を作る監督ではないし、好きよりも嫌いという人が多いと思う。
少しぐらい意味がわからなくてもいいから好きなものを撮りたいというギャスパー・ノエの我が道を行くスタイルは大好きだ。
今回は今までの作品と比べると比較的マイルドに仕上がっていて、ストーリーとしてもダンスイベントのリハーサルが終了して、打上げをするという、物語の入り方はすごく分かりやすく、展開のテンポも抜群に良い。
何より前半は驚異的なダンスシーンが長回しで展開されたり、カメラワークによって、ダンスというものをアートそのものに仕上げる工夫や映像センスは正に一級品の音楽映画と言ってもいいだろう。
変態監督ではあるが、やっぱり天才でもあるのだ。
天国から地獄へ…劇的なトーンの変化

打上げで出されたサングリアに誰かがLSDを混入したとこで、飲んでしまった者は最悪なトリップ状態。その症状も様々で失禁する者もいれば、叫び出したり欲望のままに行動したり…と様々。飲まなかった者も周りの凶変ぶりによる被害を受けて、決して無傷では済まない状態へと陥っていく。
薬物を使用したときの描写としては、快楽も描かれることはあるが、この映画で描かれる薬物によるトリップは終始地獄でしかなく、騒ぎが収まったあとも取り返しがつかないことになってしまっている。この映画を観た後に薬物やLSDをやってみたいなんて思う人なんて、いないのではないだろうか。
問題のあるシーンも多いため、R指定映画となっているが、ギャスパー・ノエがインタビューで「若い人に観てもらいたかった」というのは、薬物の怖さを伝えたかったという気持ちがあったからではないだろうか。
一種の薬物撲滅キャンペーン作品とも言えるだろう。
登場人物が多すぎてキャラクターを把握しづらい

この作品は、とにかく登場人物が多いため、冒頭で自己紹介映像が流れる。ちなみにその映像が流れているテレビの横には『ゾンビ』や『サスペリア』のVHSが置いてあって、推測するにこのテレビの持ち主が犯人ではないかと思ったが、犯人は謎のままではある。
キャラクターは抱えている問題も様々で、同性愛者もいれば性差別者もいるのだが、キャラクターが多すぎて、1回観ただけでは脳内処理が追い付かない。
1回目は頭空っぽで観て、2回目でキャラクターを分別していった方がいいかもしれないが、2回連続で観るのは相当キツイだけに、日は改めた方がいいかもしれない

点数 84点
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