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この映画語らせて!ズバッと評論!!【第36回東京国際映画祭SP】『ロクサナ』か弱い女性だと思って近づいた下心男が逆に振り回されるイラン製ラブコメ!!

この映画語らせて!ズバッと評論!!【第36回東京国際映画祭SP】『ロクサナ』か弱い女性だと思って近づいた下心男が逆に振り回されるイラン製ラブコメ!!

作品情報

『南から来た少年』(97)で東京国際映画祭ヤングシネマ・ゴールド賞を受賞したシャーバズィの最新作。魅力的な女性と出会った青年が巻き込まれる出来事を通してイランの若者たちが置かれた不安定な状況を描き出す。

『ロクサナ』レビュー

ちょっと認知症に気配がある母親と実家暮らしニートのフリードがある日、バッグが盗難にあってパニックになっている女性ロクサナと出会うことから始まる物語。

フリードはロクサナと親密な関係になろうという下心から、ロクサナのバッグ探しや、ロクサナが結婚式のビデオカメラマンをしていることからアシスタントのようなこともするが、弱い女性だと思っていたロクサナは天真爛漫な性格で、あまり遠慮もしない。タバコも吸うしおごると言ったら平気で高い料理を頼む……などなど。とにかく我が道を行く女性だったことから、逆にフリードが振り回されていくことに。

イランでは酒を所有したり持ち込むことが違法とされているが、その手伝いをさせられて、運悪く警察につかまってしまうが、全部自分のものだと言い張り罪をかぶるフリード。もちろんロクサナにいい顔をしたいからだ。

ニートでお金もないから、友達に借金してはロクサナのご機嫌をとる。

しかし好きだということを打ち明けられないし、ロクサナがそういった気持ちになっていないことが何となくわかっている。

どれだけ身を削っても、ロクサナの良き理解者であることをアピールしても、自分になびかない。男としては認知されていない。心に入り込めない距離感が存在していることを、さすがに悟ってきてはいるものの、それでもかすかな希望にかけてロクサナに付きまとう。

同じ内容でアメリカで映画化したら、王道ラブコメになりそうなストーリーではあるが、イランという国を舞台にしていることもあって、どことなく国自体の危うさや緊張感が所々に少しずつ漂ってはいるため、全体的な構造はラブコメ色が強いというのに、何か違うジャンルの映画を観ているような気分になる。

点数 80

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