作品情報
30歳までにはきちんとした人生を歩んでいるだろうと思い込んでいた学生時代の7人の仲間たち。しかし30歳になった時、待っていたのは大混乱だった。それぞれの人生で誰かを愛し、笑い、失敗し、傷つきながら成長する過程で、築き上げた友情は決して完璧ではないことを知り、人生の光と影を受け入れていく。
『ジー・カルダ ~絡み合う7人の友情~:シーズン1』レビュー
「フォー・モア・ショット・プリーズ!」がインド版「セックス・アンド・ザ・シティ」であるなら、今作「ジー・カルダ ~絡み合う7人の友情~」はインド版「ライザのサバヨミ大作戦」もしくは「 ママと恋に落ちるまで」といったところだろうか。内容は違うが、全体的な雰囲気が似ている。
学生時代から付き合いが続いている男女7人の物語で、その中には恋人同士になっていたり、かつて恋人だったり、片想いだったり……と、世界中のドラマでよくある設定の作品だ。
恋に仕事に家族問題、同性愛などのマイノリティなど、その点もインドという土地ならではのものもあるが、基本的にはアメリカやイギリスのドラマと同じようなことを描いていることもあって、なんとなく観るのが丁度良いタイプのドラマだ。
『バーフバリ 王の凱旋』や『K.G.F: Chapter 1』などでお馴染みのタマンナーだが、最近は『プランA、プランB』や『慕情のアンソロジー2』などでもインド版ジェニファー・ロペスのような立ち位置のキャラクターを演じていて、今作がさらにロマコメの印象を強めたといえる。
また直接的ではないものの、セックスシーンも体当たりで演じており、役の幅を広げたといえるだろう。
タマンナー以外も今後の活躍が期待できる俳優ばかりではある。例えばシャーヒド役のフセイン・ダラールは俳優としても知られているが、実は今作のクリエイターでもあり、『若さは向こう見ず』や『ブラフマーストラ』といったアヤーン・ムカルジー作品で脚本家のひとりでもある。
ほかにも「フォー・モア・ショット・プリーズ!」にもスネーハ役で出演していたシモーン・シンなどのベテラン俳優も多数出演している。
シーズン1が全8話ということもあって、さくっと観れてしまうほどの内容ではあるが、「ここからが本番!」といったところで最終回となっているため、全体を通してプロローグ的。その次にどうなるのかが観たいと思わせることには大成功しているだけに、とりあえずシーズン2は制作してほしいところだ。
音楽の点で細かいことを言うと、アルジュン(アーシム・グラティ)は人気のロックスターという設定になっているが、バングラ(パンジャブ民謡)をベースとしているため、 ロックというよりポップスターだと思う。
『フェイク』『ファミリーマン』などのAmazonプライムドラマでも音楽を担当し、カッカー姉妹(スークリティ、プラークリティ・カッカー)の多数の楽曲に参加するインドのヒップホップ・アーティストでプレイバックシンガーや音楽監督なども務めるMellow Dが使用楽曲を手掛けていることも魅力のひとつだ。
Mellow Dといえば、エミネムや50セント、スヌープドッグなどを海外のヒップホップ・アーティストをリスペクトしていながらも、インドの古典音楽(ヒンドゥスターニーなど)を大切にしたスタイルが特徴的なアーティストだが、今作ではその良さが存分に活かされているといえるだろう。
ちなみにパーティやクラブのシーンで「フォー・モア・ショット・プリーズ!」や「Bandish Bandits」(日本未配信)といった同じAmazonプライムドラマの曲が惜しみなく使用されている。
点数 80
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