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ザクッとドラマ・番組評論『ハーレム:シーズン1』”ガールズ・トリップ”の脚本家が手掛ける黒人女性のリアルライフ!!

作品情報

脚本家トレイシー・オリヴァー(「ガールズ・トリップ」)がニューヨークのハーレムを舞台に、スタイリッシュで野心的な4人の女友達を描いた新コメディシリーズ。新進気鋭の大学講師、抜け目のないテック企業家、思ったことをそのまま口にする歌手、そして恋に恋するタイプのファッションデザイナー。キャリアや恋愛、大都市での次の夢に向かって、彼女たちは共にレベルアップしていく。

『ハーレム:シーズン1』レビュー

ニューヨークのハーレムに住む、様々な悩みを抱える自立した独身女性たちの本音を描いた、黒人版『セックス・アンド・ザ・シティ』のような物語。

『ガールズ・トリップ』の脚本家トレイシー・オリヴァーが手掛けたドラマということもあって、同作を観た人なら察すると思うが、当然ながら下ネタは多い。

シーズン1が2021年12月よりAmazonプライムビデオで配信されており、シーズン2も制作中だ。

このポスト『セックス・アンド・ザ・シティ』、ポスト『ゴシップガール』的な作品は、先日紹介したインドの『Four More Shots Please』同様に、韓国版でもヨーロッパでも、作り続けられている。

それはなぜかというと、その国にとって、現代を映すのは、いつだって女性の立ち位置。つまり女性の”今”を見せることで、国としての将来性やジェンダーに対しての考え方などをメッセージとして発信できてしまうのだ。

だからこそ、時にはプロパガンダに近いレベルで女性たちのおしゃれライフが描かれる。配信系ドラマのトレンドになるわけだ。

とはいえ、単純にそういった作品に良作が多いことも確かで、今作もその作品のひとつである。

ハーレムというと、治安の悪い犯罪多発地帯と思うかもしれないが、今作はクイムサスペンスではない。近年のハーレムは都市開発が進み、児童文学の映画化作品『でっかくなっちゃった赤い子犬 僕はクリフォード』の舞台になるほど、治安も良く、女性がひとり暮らしするのも珍しくはない街になっている。

描いているのは、様々なバックボーンやマイノリティの黒人の親友4人組の赤裸々な物語。ネット業界、芸能界、大学の教授など、様々なジャンルで活躍し、それぞれが個性に満ち溢れていても何か悩みを抱えている。

それは単純に仕事の問題であったりもするし、男女間の問題、または同性愛など。

NETFLIX映画『マルコム&マリー』の中のセリフにもあったように、黒人の中には、黒人であることで社会派なメッセージや、人種問題に対しての問題提起に説得力を増すことを理解して操っている人もいる。 それと同様に、黒人としてのプラスの面をいかに利用し、マイナスの面をカバーするかといったことにも容赦なく切り込み、ハイクラスな黒人に対して、白人はより敵意を見せるなどといった、潜在的な偏見や差別意識の蔓延る社会の中で、どう戦っていくべきなのかという問題にも直面している。

黒人だからといって、誰もが『ゲット・アウト』を好きではないし、BLMを主張することに対して冷め切っている人もいるということ。黒人だからといって、誰もが同じ志や思想だと決めつけるな!という単純ながら深いメッセージを秘めたドラマである。

点数 80

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