イントロダクション
巨匠ムルナウがハリウッドで手掛けた鮮烈な一作!監督は、『吸血鬼ノスフェラトゥ』や『サンライズ』などで知られる巨匠F. W. ムルナウ。広大なロケーションと緻密に計算されたセットをふんだんに用い、円熟の頂点に達したサイレント映画の映像表現で魅せる。特にふたりの帰郷場面は、映画史上稀に見る幸福感あふれるシーンで必見! (DVD公式HPより)
ストーリー
都会のダイナーで働くケイトは、田舎から出てきた純朴な青年レムと瞬く間に恋に落ちる。ケイトはレムと結婚し、広大な小麦畑の広がる彼の実家に移り住む。
だが、レムの父はふたりの結婚に反対していた。そして嵐の近づく夜、ついに破局的な事態へと至る……。
スタッフ・キャスト
監督 : F. W. ムルナウ 『ファウスト』『吸血鬼ノスフェラトゥ』
脚本 : ベルトルト・フィアテル
出演 : メアリー・ダンカン 『河』『四人の悪魔』
チャールズ・ファレル 『可愛いマギー』『街の天使』
デイヴィッド・トレンス 『二つの顔』『ディズレーリ』
イーディス・ヨーク 『メリー・ゴー・ラウンド』『オペラの怪人』
クレジット
原作/エリオット・レスター
撮影/アーネスト・パーマー
美術/エドガー・G・ウルマー
1930年/アメリカ/モノクロ/89分
(C)Gucchi’s Free School + PHASE OUT INC.
短評
出稼ぎにやってきた青年レムと、ダイナーで働くウェイトレスのケイトが、店での会話と少しのデートで結婚の決意をするというのは、現代では現実離れしているだろうが、それは映画の世界と、若い2人の勢いというのもあったりで、前半はラブコメディのようなテイストの物語である。
今作の注目すべき点は、後半部分から。結婚し、田舎に移住することを決意したケイトが、いざレムの実家に来てみると、父親から猛反対。嫌な扱いを受けるどころか、実家の農場で働く者たちにも物珍しいものを見るような目で常にじろじろと見られている。
何よりレムが父親に頭が上がらず、いまいち頼りにならない…….
幸せな新婚生活を思い描いていたケイトの夢は打ち砕かれ、ただ広いだけの田舎で、自分を嫌う義父との生活は耐えがたいものでしかなかった。
理想と現実のギャップ、そして現代にも通じる嫁舅問題に悩み、ケイトの目に映る広すぎる農場はかごの中の鳥のようであった。
ラストは王道的なハッピーエンドにはなるものの、理想と現実のギャップを1930年代に描いていたというのも、斬新であったのではないだろうか。
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