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THE映画紹介『マリー・アントワネット』ソフィア・コッポラが手掛けたポップなアントワネット!!

THE映画紹介『マリー・アントワネット』ソフィア・コッポラが手掛けたポップなアントワネット!!

THE映画紹介とは?

THE映画紹介とは…劇場公開中には観れなかったもの、公開中に観たんだけれども…レビューする前にリリースされてしまったもの、単純に旧作と言われるものを独自の偏見と趣味嗜好強めに紹介するもの。

アメリカ映画、インド映画、ドイツ映画、アジア映画、アニメ、ドキュメンタリー….なんでもあり!!

今回紹介するのは『マリー・アントワネット』

作品情報

14歳でオーストリアからフランス・ブルボン王家に嫁ぎ、18歳でフランス王妃に即位、そしてフランス革命によって37歳の短い生涯に幕を閉じたマリー・アントワネットの人生を『ヴァージン・スーサイズ』『ロスト・イン・トランスレーション』のソフィア・コッポラ監督が映画化。タイトルロールにはキルステン・ダンスト。その他アーシア・アルジェント、ジェイソン・シュワルツマンらが共演。

『マリー・アントワネット』基本情報

2006年製作/123分/アメリカ
原題:Marie Antoinette

監督: ソフィア・コッポラ

出演: キルスティン・ダンスト、ジェイソン・シュワルツマン、リップ・トーン、アーシア・アルジェントほか

ティーン・エンジャーとしての視点

これまでに歴史劇として描かれることはあった、マリー・アントワネットではあるが、監督のソフィア・コッポラは、そんなありきたりなマリー・アントワネットは描きたくはなかった。そのため今作の切り口は歴史劇ではなく、14歳で政略結婚した幼さの残るティーン・エイジャーとしてのマリー・アントワネットの視点となっていて、堅苦しいイメージを取っ払ったガールズムービーなのだ。

だからと言って、史実を無視しているわけではなく、実際の出来事を別の角度から描くことで歴史劇としてもガールズムービーとしても成り立たせているのだ。

更に「ザ・キュア」や「ニューオーダー」といった70年~80年代のニュー・ロマンティック音楽を劇中に使用することで、ポップ感を引き立たせている。

こんなにポップでファッショナブルな歴史劇があっただろうか

キルスティン・ダンストが想像するマリー・アントワネット像

キルスティン・ダンストがソフィア・コッポラの作品に出演するのは、1999年の『ヴァージン・スーサイズ』以来の2度目だった。

ソフィア・コッポラは、キルスティン・ダンストがマリー・アントワネットを演じるにあたって注文したことは、「あくまでキルスティン自身のままで、キルスティンから見た歴史上の人物マリーを演じるように」と言われたことから、キルスティンは、マリーはおそらくモダンガールであったと考えたのだった。

ソフィア・コッポラの想像していたポップな世界観とキルスティン・ダンストの想像したモダンガールとしてのマリー・アントワネット像が上手く融合したことで、この作品を作り上げている。

色鮮やかなケーキやお菓子も映画の主役

マリー・アントワネットと言えば、飢えに苦しんで「パンが欲しい」と迫る民衆に無邪気にも「パンがなければお菓子を食べればいい」と言った有名なエピソードから、映画にお菓子がなくては話にならない。

そこで劇中のお菓子コンサルタントとして依頼したのが、パリのシャンゼリゼ大通りジョルジュ・サンク駅のそばにある1862年創業のマカロンで有名な老舗「ラデュレ」だった。

「ラデュレ」の芸術とも呼べる色鮮やかなケーキやお菓子の数々は、映画のアクセントにもなり、観ている側も無視することなどできない。

お菓子だけではなく、その他の衣装や小道具もどれも芸術性が高く素晴らしい。

歴史的建造物であるベルサイユ宮殿にカメラが入り、撮影することが承諾されたため、一部の家具や小物は本物が使用されている。

『炎のランナー』や『バリー・リンドン』でアカデミー賞の衣装デザイン賞を受賞している衣装デザイナーとして知られているミレーナ・カノネロが衣装を担当。マカロン色の衣装をデザインして色彩豊かな世界観を演出してみせた。

ミレーナ・カノネロは第79回アカデミー賞で衣装デザイン賞を受賞したが、当然だと言えるだろう。ミレーナは2014年の『グランド・ブタペスト・ホテル』でも衣装デザイン賞を受賞している。

短評

私がこの映画を初めて観たのは映画館バイトしていて、試写だった。

その時は試写と無料パスで週に10~15本は映画館で映画を観ていたため、給料の3倍ぐらいの映画を無料で観ていたことになる。

1982年生まれのキルスティン・ダンストは、当時24歳であったが14歳のマリー・アントワネットを演じるには無理があると思われたが、子役を使わずにメイクの仕方で本当に14歳に見せることに成功している。キルスティン・ダンストは老け顔ではあるが、老け顔の14歳にちゃんと見えたと印象が強かった。

右も左もわからないアウェー感の中で奮闘するマリー・アントワネットをティーンならでは視点でポップに描いている。ソフィア・コッポラが得意とする色彩感や老舗お菓子店、アカデミー賞受賞経験のある衣装デザイナーが上手く融合しており、異色のマリー・アントワネット映画を作り上げることに成功している。

歴史劇と聞くと、どうしてもハードルが高いと感じる人は少なくないはずだ。私も今でもインドや中国の歴史劇は知識が足らなく、勉強中ではあるが、やはり観る前に身構えてしまう。しかし、今作はそんな歴史劇が苦手な人にとっても観やすい映画となっている。

女子ウケする映画ではあると思うが、歴史映画マニアが観るとしたら、正直おすすめはできない。

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