海外ドラマ特集『ザ・ボーイズ』

ジム・リーがイメージ・コミックス時代に設立した『ワイルドキャッツ』『ジェーン13』などで知られるワイルドストームから出版されたグラフィック・ノベル『ザ・ボーイズ』を元にアマゾンがドラマシリーズとして製作。すでにシーズン2の製作も決定しているぼどのヒット作となった。

ちなみにワイルドストームは現在、DCに買収されていて、グリフターなどのキャラクターがDCユニバースに融合している。

グロやエロ描写が話題となっている作品ではあるが、原作と比べると凄くマイルドになっていて、キャラクターの狂気性もいくらか和らいでいるため、ヒーローサイドは原作よりも感情移入しやすいキャラクターになっている。

製作には『ライオン・キング』『ディザスター・アーティスト』のセス・ローゲンも参加していることで原作の笑えないブラックすぎるジョークもギリギリラインのブラック・コメディ色としてドラマに反映されている。

『フラッシュ』のようなスピード系の能力を持つヒーロー、Aトレインがぶつかったことで目の前で彼女を肉片にされてしまったヒューイを主人公に物語は展開されていく。

しかし、彼はAトレインへの殺意の前に謝罪を求めた。それはヒーローという存在がいかに人々の概念に影響を与えているということを表している。

それとは対照的にスターライトはヒーロー側としてあるべき姿という概念をもっていて、その概念が覆されてしまったことで今まで見ていた背景や世界観、価値観が変わってしまう。これは、つまりこの作品の主人公の2人の視点は、ドラマを観ている側の視点でもあるのだ。

ヒーローが人格者であり、絶対的存在であると脳裏にインプットされていることが現されている。 ヒーロー活動の影で苦しんできた人々はマーベルやDCでも何度か描かれてきた。MCU版スパイダーマンのヴィランはヴァルチャーモミステリオのどちらもトニー・スタークの不の遺産とも言うべきものだし、『ヤング・スーパーマン』ではスーパーマンが地球におちてきた時の隕石によって人生が狂わされた人々が描かれていたりする。

ヒーロー活動の裏側を描くことは、今となっては新しいという設定ではないが、ここまで誇張していて、パロディっぽくあるのにも関わらずに、コメディではなく、現実とフィクションの丁度いいほどの中間地点とも言うべき世界観を保っていて、そこに経済とショービジネス界の裏側をうまくヒーローと民間人の間の見えざる存在の恐ろしさとして表現している点もこの作品の見所のひとつだ。

更にアメリカン・カルチャーを知っていれば、わかるネタもたくさん盛り込まれている。

例えば第1話の透明能力をもつトランスルーセントが出演しているトークショーはジミー・ファロンの『ザ・トゥナイト・ショー』でジミー・ファロンも本人として出演している。

俳優や歌手、コメディアン、アスリートにとって、一種のステータスとも言うべき番組が『ザ・トゥナイト・ショー』だ。そんな番組に呼ばれているということでヒーローがタレントとしても扱われているという世界観をさりげなく映し出している。

実はヒューイの父親役のサイモン・ペグは原作のヒューイのモデルである。「アルティメッツ」のニック・フューリーがサミュエル・L・ジャクソンをモデルに描いたことで、映画ではサミュエル・L・ジャクソンが演じたように、今回はサイモン・ペッグがヒューイの父親役として出演している。

ファンミーティングやハリコン、小規模の地方コミコンの様なサイン会のシーンに登場するビリー・ゼインとタラ・リード本人、タラ・リードのテーブルの上には2006年の主演映画『Incubus』(日本未公開)、そして後ろには『シャーク・ネード』のポスターが貼られている。

タラ・リードと言えば『プッシーキャッツ』や『アメリカン・パイ』など2000年代のラブコメやホラーで活躍していた女優で、最近ではテレビ映画の「シャークネード」シリーズに出演していて、B級女優となっているし、『タイタニック』のビリー・ゼインは、最近ではウィル・フェレルの作品にゲスト出演するいじられキャラとされている。

ハーレイ・ジョエル・オスメントは元子役で能力者という役のために、本人役ではないが、彼も最近はケヴィン・スミスの作品の常連でこの手のイベントにはよく参加している。この何とも言えないチョイスが、実にリアル!!

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