作品情報
アフリカの雄大な自然を背景にライオンの王子シンバの成長と冒険を描いたディズニー・アニメの名作『ライオン・キング』を、『ジャングル・ブック』『アイアンマン』のジョン・ファブロー監督が、フルCGで新たに映画化。アフリカの広大なサバンナで、動物たちの王であるライオンのムファサの子として生まれたシンバは、いつか父のような偉大な王になることを夢見ながら成長していく。しかし、ある時、王位を狙う叔父スカーの策略によって父の命を奪われ、シンバ自身もサバンナを追われてしまう。やがてたどりついた緑豊かなジャングルで、イボイノシシのプンバァとミーアキャットのティモンといった新たな仲間との出会いを得たシンバは、過去を忘れて穏やかに時を過ごしていく。一方、スカーが支配するサバンナは次第に荒れ果て、存続の危機が迫っていた。シンバの声を、グラミー賞を受賞したラッパーとしても活躍し、『スパイダーマン:ホーム・カミング』などにも出演する俳優ドナルド・グローバーが担当し、ジンバの幼なじみナラ役をビヨンセが担当。2人が新たに歌唱に参加した、エルトン・ジョンによる「愛を感じて」ほか、「サークル・オブ・ライフ」「ハクナ・マタタ」など名曲の数々がスクリーンを彩る。
『ライオン・キング』レビュー
黒人俳優をメインキャストにして、よりソウルフルに!!
1994年に公開されたディズニー長編アニメ映画『ライオン・キング』を最先端のVFX技術によってリメイクした新作『ライオン・キング』
1994年版はシンバ役を『プロデューサーズ』のマシュー・ブロデリックが担当し、その他のキャストも白人が中心だったのとは対照的に今回のリメイクでは黒人俳優をメインにキャスティングされており、楽曲がよりソウルフルにアレンジされている。
大人のナラ役にはビヨンセがキャスティングされており、原作にはなかったナラのソロとになる新曲『スピリット』を歌い上げている。
残念なのは、ここまでのキャスティングをしておいて、ミュージカルテイストはやや控えめということ。どうしてもブロードウェイ・ミュージカルや劇団四季のイメージが強すぎてしまって、ミュージカル映画の様に感じるが実は原作アニメはそれほどミュージカル・シーンがあるというわけではない。それはわかってはいるのだが、リメイクするにあたってミュージカル・シーンを増やしてくれてもよかった気はするし、ナラのソロもフルで聴かせてほしかった。
良くも悪くも原作に忠実に作られている
原作アニメをトレースしていったかのような、そのままストーリーにはリメイクする必要性に疑問を感じるが、大きく改変して批判されるより、原作に忠実であれという風潮が日本もアメリカも最近リメイクへの冒険精神が薄れつつある。
今や動画配信サービスやYouTubeなどもあることから、過去の作品はすぐに観ることができてしまう。ビデオやLDに頼っていて、ソフトが見つからないなんてレンタル店を駆け回る時代ではないし、特にディズニー作品なんて尚更だ。
過去作を知らない人への精神もいいと思うし、基盤となるストーリーはそのままでいいとしても、リメイクだからこそ!というものを詰め込んでもらいたかった。動物の質感を究極にまで仕上げてきた映像技術こそが見どころだと言われてしまえば終わりで確かにライオンは可愛いし、動物好きにとっては楽しくて、それだけ観てても飽きないというのはあるのだが、マイケル・ベイの「トランスフォーマー」シリーズみたいに映像技術の見せびらかし映画として作っているわけではないと思し、映像技術の進歩の凄さは『ジャングル・ブック』で観てしまっているから、今回もそれで押し通そうとするのは納得できない。
グラミー歌手のドナルド・グローバーとビヨンセ、ミュージカル経験者多数参加しているという環境に便乗するとしたら、個人的にはミュージカル・シーンの強化だったと思う。
プンバァを擬人化したようなセス・ローゲン
今回、イボイノシシのプンバァの声を担当しているのは、コメディアンで俳優のセス・ローゲン。
セス・ローゲン自体がプンバァを疑心化した様なキャラクターなだけに、今回のキャスティングは100点満点と言って過言ではないが、贅沢を言うならティモンはジェームズ・フランコにしたら、腐れ縁感が協調できたと思う。
点数 65点
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