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シリーズ全ての謎がついに明かされる!”チャイルド・プレイ”シリーズの集大成!ドラマ『チャッキー』を楽しむ5つのポイント

シリーズ全ての謎がついに明かされる!”チャイルド・プレイ”シリーズの集大成!ドラマ『チャッキー』を楽しむ5つのポイント

ついに日本でもHuluで配信が開始された『チャイルド・プレイ』の正当なる続編にして、初のテレビシリーズ『チャッキー』

『チャイルド・プレイ』シリーズは、これまでにも2007年にDevil’s Due Publishingから出版されたコミックシリーズでもサイドストーリーは語られていたが、あくまで補足程度でしかなかった。

しかし今シリーズは、原案者にしてシリーズ全て(リメイク版以外)に関わってきたドン・マンシーニが長年温めていた企画の実現である。漠然とではあったが、映画尺の中では描ききれなかったり、予算の都合で取り入れることができない設定をいつか実現させたいと、ずっと考えていたのだ。

正に集大成といえるだろう。

■シリーズ全ての伏線が回収へ向かう

ドン・マンシーニは、今シリーズを「全てが繋がる」と明言しており、実際に、今までのシリーズ(リメイク版以外)で散らばっていた伏線が一気に回収されていく。すでにシーズン2の制作が決定している他、評判が良ければ、さらに新作映画も考えおり、更なるシリーズの拡張を目指している。

今作は、『チャイルド・プレイ~チャッキーの狂気病棟~』(2017)から直後の物語である。第4話の時点で約2週間が経過していたことになっているため、1話の時点では、数日後だと考えていいだろう。(つじつまが合わない部分もあるが……)

『チャイルド・プレイ』(1988)で標的にされたアンディと、『チャイルド・プレイ2』(1991)のカイルが手を組み、チャッキーハンターとなっていることは、前作でも明らかとなっていたことだが、今作では、そんな因縁に終止符を打つべく、アンディ&カイルも再登場。

さらに『チャイルド・プレイ/誕生の秘密』(2013)からシリーズに加わったニカ、そして新たに登場するドラマの主人公たちによる新世代の物語が同時並行で描かれ、それぞれの運命が交差する。

何より注目すべき点は、チャッキーの魂の正体である殺人鬼チャールズ・リー・レイについての生い立ちや殺人衝動の理由、そしてティファニーとの出会いなど、今まであやふやだったことが次々と明らかになっていく。

チャールズは1作目から同じブラッド・ドゥーリフが演じているが、今作においしては回想シーンが多いことから、ニカ役のフィオナ・ドゥーリフがチャールズの若い頃も演じている。ちなみ今さらではあるが、フィオナは、ブラッドの実の娘というだけあって、かなり似ている。

■親の死がもたらす精神的変化パターン

『チャイルド・プレイ』のアンディが子どもの頃にチャッキーに襲われ、身近な人が殺された経験によって、PTSDに悩まされていたように、子どもの頃に”死”にいうものに触れたときの体験というのは、精神に何等かの影響を及ぼすことが多い。

そして、子どもの頃に他者の死を経験する場合のほとんどが自分の親族であり、事故や病気が原因だろう。それで強くなる者もいれば、一生引きずるほどのトラマウマを抱えて、心を病んでしまう者もいる。死の受け止め方も人それぞれなのだ……。

チャッキーの出現によって、親たちが次々と殺されていくことで、強制的に成長を余儀なくされる。同じ苦境に立たされた同世代の感受性豊かな子どもたちは、どう行動し、どう判断するのだろうか。

チャッキーは、時にイマジナリーフレンドの立ち位置に徹して、相手を惑わせるような言葉を囁く行為は、芽生える悪意のメタファーのようにも感じられる。といったように、心理実験的な側面も秘めた作品となっているのだ。

■90年代から実現させたかった念願のシーン

今作のチャッキーのデザインは、一番人気の『チャイルド・プレイ2』(1990)を意識したものであるが、ドン・マンシーニは『チャイルド・プレイ3』(1991)で実現させたかった、ある計画があったが、当時は予算の都合で実現に至らなかった……。

それはチャッキー軍団の登場である。前作の『チャイルド・プレイ~チャッキーの狂気病棟~』で、チャッキーが複数存在していることと、その原理について言及されたが、今作では、それをはるかに上回る数のチャッキー軍団が登場することになる。

皮肉なことにチャッキー軍団の登場に関しては、2019年のリメイク版で先を越されてしまったが、ついに本家でも実現するに至ったのだ。

■オマージュ&パロディシーン

今作は、とにかくオマージュとパロディシーンが大量に隠されている。第1話のオープニングでは、いきなり『ハロウィン』(1978)のマイケル・マイヤーズが姉を殺害しに行く目線をそのまま再現したパロディシーンが盛り込まれている。

その他にも第2話では、『ハロウィンⅡ』(1981)に登場したドクター・ミクスターに言及するシーンがある。同じく第2話の中でカミソリの刃の入ったリンゴが出てくるが、これは「キャンディマン」のカミソリ入りキャンディが元ネタのように感じるかもしれないが、『ハロウィンⅡ』に登場したものをイメージしているのだろう。

さらに第6話では、ジェイクとデヴォンが一番のホラーヒロインは誰かという話題で、ローリー・ストロードを挙げているなど、随所に「ハロウィン」ネタが多く含まれているのだ。

これは今作自体が「ハロウィン」と共通するテーマとして、不安と恐怖が人間の心理にどう影響するかということを描いているからでもあるし、アメリカでの放送開始時期と『ハロウィン KILLS』(2021)の公開時期が近かったことも影響しているのだろう。ちなみにアメリカでは、チャッキーがカボチャに「ハロウィン」シリーズの殺人鬼マイケル・マイヤーズの顔を掘るという、限定コラボCMが放送されていた。

また今作では「いじめ」がテーマのひとつでもあることから、同じテーマを描いた『ヘザース/ベロニカの熱い日』(1989)から着想を得ている部分も多く感じられる。同作の中でクリスチャン・スレイターが演じていたジェイソン・ディーンとチャッキーが同じような役回りをしているシーンがある他、「Fuck me gently with a chainsaw!」というセリフは、間違いなくパロディになっている。

第4話では、ヒッチコックの『北北西に進路を取れ』(1959)のオマージュがあったり、第6話のトラップの仕掛けは『ケープ・フィアー』(1991)、第7話では『シャイニング』(1980)のオマージュもある。

その他にも「ソウ」シリーズ、『リ・アニメーター』(1985)、『マジック』(1978)、『ボクシング・ヘレナ』(1993)などなど……。気づいていないだけで、まだまだ多くのネタが散らばっていそうだ。

■上級者向けのマニアックネタ

パロディ&オマージュ以外にも、注意していないと気づけないほどマニアックなネタがとにかく多く散りばめられている。

例えばチャールズ・リー・レイの墓に掘られている命日が1988年11月9日になっているが、これは1作目のアメリカ公開日だ。

他にもジェイクの飼っている猫ビンクスの名前の由来は、『ホーカス・ポーカス』(1993)で猫に変えられた少年の名前にちなんでいたり、第2話でチャッキーがハロー・キティの仮装をしているが、これはユニバーサル・スタジオ・ジャバンのハロウィンシーズンのイベントで限定販売されたチャッキーの仮装したハロー・キティの逆バージョンになっていたり……。

また、『チャイルド・プレイ/チャッキーの種』(2004)に登場した、チャッキーとティファニーの息子グレンに言及するシーンも何度かあり、ドン・マンシーニが、2021年のNYコミコンでグレンについて質問されたとき「Keep watching」と意味深な言葉を残していることからも、シーズン2もしくは映画版に登場する可能性は高いだろう。

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