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この映画語らせて!ズバッと評論!!『カウントダウン』エリザベス・ライルの魅力が詰まった作品ではあるが死の演出が安っぽい

この映画語らせて!ズバッと評論!!『カウントダウン』エリザベス・ライルの魅力が詰まった作品ではあるが死の演出が安っぽい

作品情報

自分の死ぬ時間がわかる謎のアプリをダウンロードした看護師のクインは、何とか阻止しようと奮闘するが、そんな中でも同じアプリをダウンロードした者たちが死に続ける。阻止する方法も全くわからないまま死を待つしかないのかと思っていた最中、妹もアプリをダウンロードしていることが判明する…。監督は今作が長編初監督デビューとなるジャスティン・デック、出演は『ワンス・アポン・ア・タイム』『YOU』などのドラマシリーズに出演するエラリザベス・ライル、「トワイライト」シリーズのピーター・ファシネリ、『スキャンダル』『グリーンブック』のP・J・バーンなど。

『カウントダウン』レビュー

日常生活においてもダウンロードする前の規約がびっしり、ろくに読まないでチェックしていないということはないだろうか、ろくに読まないでサインしたために、後で大変なことになるということを誇張したエピソードが『サウスパーク』の中にもあったが、今作でもアプリをダウンロードしたことで死の恐怖が付きまとうことになってしまう。

この映画、なかなか疑問点の多い作品である。アプリをダウンロードしただけでは、=死ではない。死が近づいていない人にとっては、50年後や60年後の時間が表示されるのだ。

つまり、それをダウンロードしたことで死ぬというより、もともと死ぬ運命であった時間が表示されるのか、それともアプリをダウンロードした人からランダムに何人かは選ばれるのかが、設定があやふやになっていているのだが、死ぬ予定ではない人が死んだり、一時的に死んで甦生することで死を回避できるという設定が『ファイナル・デスティネーション』の設定に酷似しているように感じられる。

死に近づくことで死神や悪魔の姿が見えるようになるというのも酷似している。

しかし、決定的な違いとして、死に方の演出や細部にいたっても、全体的に安っぽく、B級感が漂っていることだ。

もともとこの作品は2016年に監督のジャスティン・デックが撮った5分のショートフィルムを元としており、設定をそのままに長編化してみたものの、さすがに5分のものを1時間40分程度にまで拡張したことには無理がある。

短編であればある程度、余韻や疑問点を残しても許される部分はあるが、長編となると、ある程度の説明を提示しなければならなくなるという点でジャスティン・デック2008年頃から映画業界で働き続けて約10年という下積みの末の長編映画監督ではあるが、長編には向いていないのかもしれない。

今作で唯一の見所といっていいのは、エリザベス・ライルの演技力である。ドラマで活躍してきたエリザベス・ライルが映画界に進出するプロモーション的な作品としては機能している。

日本では携帯電話が一般化されたことで、直接的にホラー要素として描いた『着信アリ』や、その他にも恐怖ツールとしての役割を果たしてきたが、実は世界的に普及したのは、iPhoneが一般化してからである。

それまでは、携帯電話というもの自体は世界的にあったものの、アメリカでは単純に電話とメールができるだけのシンプルなものを使用している人がほとんどで、カラー画面でカメラも付いてゲームもできてネットもできるという日本の携帯技術は格段に先を行っていたのだ。

だからこそ携帯電話というものを映画のキーアイテムとすると、一般的ではないし、共感させることができないということで携帯を題材とした作品は実はそんなに製作されていない。携帯をキーアイテムとして使用する映画というのは、実はまだ数年の話なのだ。

8月に日本でも公開される、意識を持つスマホのAIをコメディとして描いた『ジェクシー』など、今となってはスマホを題材とすること自体が使い古されたネタのように感じるかもしれないが、実はスマホを題材とした作品の歴史はまだ浅いのだ

映画『カウントダウン』は日本公開日未定

点数 72点

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