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THE映画紹介とは?
THE映画紹介とは…劇場公開中には観れなかったもの、公開中に観たんだけれども…レビューする前にリリースされてしまったもの、単純に旧作と言われるものを独自の偏見と趣味嗜好強めに紹介するもの。
アメリカ映画、インド映画、ドイツ映画、アジア映画、アニメ、ドキュメンタリー….なんでもあり!!
今回紹介するのは『マジェスティック』
作品情報
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舞台は1951年、赤狩りの気配が忍び寄るハリウッド。新進脚本家ピーターは交通事故で記憶を失い、小さな町にたどり着く。彼を見て戦争から帰った息子だと思いこんだ老人は、彼とともに、休館中の老朽化した映画館マジェスティックを再建しようとする。監督・脚本は『ショーシャンクの空に』『グリーンマイル』のフランク・ダラボン。主演は『グリンチ』『ブルースオールマイティ』のジム・キャリー。老映画館主役でマーティン・ランドーが共演。
『マジェスティック』基本情報
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2001年製作/153分/アメリカ
原題:The Majestic
監督: フランク・ダラボン
出演 : ジム・キャリー、ローリー・ホールデン、ジェフリー・デマンほか
映画好きだからこその小ネタ満載
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映画『マジェスティック』の舞台は1951年とされているため、『巴里のアメリカ人』『地球が静止した日』『欲望という名の電車』などの1950年代の映画が多数登場する他、セリフや設定の中に名作映画の引用も数多く使用されていて、映画ファンなら思わずニヤリとしてしまいそうなネタの宝庫である。
例えば、アデルが弁護士を目指したきっかけは、子供の頃に観たでフランスの文豪エミール・ゾラの伝記映画『ゾラの生涯』を観たからであった。
ちなみに偶然らしいが、アデルを演じているローリー・ホールデンの祖母グロリア・ホールデンは『ゾラの生涯』に出演している。
またシナリオ会議のシーンでは、ゲイリー・マーシャル、ロブ・ライナー、カール・ライナーが1、2分登場する他、ポール・マザースキー、シドニー・ポラックマット・デイモンにいたっては声だけの出演を果たしている。
「赤狩り」とは何か
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『真実の瞬間』や『トランボ ハリウッドで最も嫌われた男』などでも描かれていた「赤狩り」だが、映画『マジェスティック』でも「赤狩り」というものがガッツリと関わってくる。
「赤狩り」とは何かというと、1950年代当時にアメリカで吹き荒れていた反共産主義運動のことで、これを行った共和党議員のジョセフ・マッカーシーの名を取って、マッカーシズムとも言われていた。
この「赤狩り」は、共産主義的活動や発言をした者を非米活動委員会が喚問、審問会に呼び出し、仲間の名前を言わせて共産主義から切り離すという行為を繰り返していたが、これに異議を申し立てた人々は投獄されたり、アメリカでは活動ができなくなったりしたのだ。
この時に被害を受けた共産主義者は勿論、全く身に覚えのない者たちも多く存在しており、中には永久追放されたり、自殺や破産した者もいる。
特に世間に影響力の高い作家や映画監督、俳優などは標的にされやすかったのだ。今作の主人公ピーターも「赤狩り」の被害を受けることになる
監督のお気に入りローリー・ホールデン
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アデル役のローリー・ホールデンは、今作の監督フランク・ダラボンのお気に入り女優である。
今作を製作している時から、すでに企画を進めていた『ミスト』にも出演させている他、1話の監督・脚本を務めた『ウォーキング・デッド』でもメインキャラクターとして出演することになった。
『ミスト』と同時進行で進めていた『華氏451』のリメイク企画は、結果的に実現せずに、フランク・ダラボンの手を離れて、ラミン・バーラニによってHBOのテレビ映画として2018年にマイケル・B・ジョーダン主演で製作されたが、もしフランク・タラボンが製作していたら、彼女もキャスティングされていた可能性は高い
今作では、アーニー役を演じたジェフリー・デマンいたっては、『ショーシャンクの空』『グリーンマイル』『ミスト』『ウォーキング・デッド』といった数多くの作品に出演している。
繋がりを大切にしている監督だということが伝わってくる。
短評
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『ショーシャンクの空に』『グリーンマイル』のマイケル・ダラボンによる奇跡と感動の3部作の完結編とされているが、別に話自体が繋がっているわけではない。
ハリウッドの脚本家として、これからというところで、小さいときに好きな女の子目当てで参加した詩の朗読会を主催していたのが、たまたま共産党だったということだけで、『 トランボ ハリウッドで最も嫌われた男』『真実の瞬間』などでも描かれた「赤狩り」のとばっちりを受けて、仕事もプライベートも上手くいかなくなってしまったピーターは、やけくそになったことで事故にあい、車ごと橋から転落してしまう。
気づくとそこは見知らぬ町どころか、自分の記憶も失われてしまっていたといたが、町の人々はピーターを見るたびに「なんだか見た顔だ…」と言われ、戦死したと思われていたルークと間違われてしまうが、ピーター自身も記憶が戻らないことから、次第に自分はルークだと思い込むようになっていく中で、ルークの年老いた父やかつての友人、恋人の優しさや愛に触れていく。
ルークの家は、「マジェスティック」という名前の映画館を元々、経営していたが長い間、閉鎖されていた。しかし、ルークが帰ってきたと思った父は「マジェスティック」を再開させることで、失われていた日々を取り戻しながらも、ピーターが記憶を取り戻していく中で罪悪感を抱きつつも、ルークとして町中に広まってしまってどうしたらいいのかというところでタイミング悪く、非米活動委員会に見つかってしまうという記憶喪失や嘘から始まる物語という王道のプロットに「赤狩り」がリンクしてくるという点で全く新しい物語を作り上げている。
いくら似てると言っても、気づく人は気づいていた。しかし、悲しみの過去を背負った町の人達は信じたかったのだ。
多くの若者を町から戦争に送り、多くの戦死者を出した町だからこそ、ルークの帰還は戦争でぽっかり空いた穴を埋める、町の喜びや希望の象徴でもあったのだ。
アメリカが1950年代に抱えていた戦争後の悲しみを癒すのが、映画という夢の世界に導くエンターテイメントであり、人々の人生にも輝きを与えるものだということも描いていて、映画のもつ意味やあり方というのを再確認できると言ってもいいだろう。
最近では、珍しくはないが、当時では画期的なジム・キャリーがふざけない主演映画であった。
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