THE映画紹介とは?
THE映画紹介とは…劇場公開中には観れなかったもの、公開中に観たんだけれども…レビューする前にリリースされてしまったもの、単純に旧作と言われるものを独自の偏見と趣味嗜好強めに紹介するもの。
アメリカ映画、インド映画、ドイツ映画、アジア映画、アニメ、ドキュメンタリー….なんでもあり!!
今回紹介するのは1979年版『地獄』
作品情報
姦通の罪によって地獄に落ちた母を追って、近親相姦の罪を犯して地獄に落ちる一人の女を描く。脚本は「禁じられた体験」の田中陽造、監督は「赫い髪の女」の神代辰巳、撮影は「沖縄10年戦争」の赤塚滋がそれぞれ担当。
『地獄』基本情報
1979年製作/131分/日本
監督: 神代辰巳
出演:原田美枝子、岸田今日子、石橋蓮司、田中邦衛、天本英世ほか
『地獄』おすすめ?ポイント
近親相姦の愛憎劇が前に出すぎていて、タイトルを忘れそうになる
とにかく足場の悪いところを不倫カップルが逃げていて、もっと人がいる方に逃げたほうがいいと思うというツッコミ所満載のシーンからいきなり始まるわけだが、このカップルは『北の国から』でお馴染みの田中邦衛演じる不倫相手の実夫に殺されてしまうが子供だけは死体から生まれてきて、不倫していた男の実妻である生形シマ によって拾われる。
自分の夫がよそでつくった子供を育てられないし、殺したり、捨てたりしたら村の人から変な目で見られて生きていけないということで、どこからか貰ってきた親のいない子供と入れ替えて育てるとい奇想天外な展開から舞台は20年後にとび、娘アキの物語に切り替わる。
原田美枝子が母と娘の2役を演じているのだが、演じ分けが上手く、別の女優だと思ってしまうほどだった。
20歳に成長したアキは『ファイナル・デスティネーション』の様にいたるところに死が付きまとうということから、自分のルーツを探すために故郷の村に訪ねることになり、たまたま電車の中で出会った男の家にお世話になることになるのだが、それが皮肉なことに生形シマの家だったということから、アキが自分の意思とは反してドロドロの復讐劇にまきこまれていく。
あらすじと本編の内容は少し違っているような感じがしてならない。というのも近親相姦にいたるシーンを観ると明らかに自らの意思とは反しているからだ。
昼ドラファンは楽しめる独特のテイスト
地獄と下界の境界線を超えての母性愛を描くものかと思えば、自分の娘の体を利用して復讐していくために、腹違いの兄弟と近親相姦させる酷い親ぶりを発揮するわけだが、アキも次第に操られているのか自分の意思なのかよくわからなくなって、とにかくドロドロの愛憎劇のような展開で、やたらとセックスシーンがあったりするのは、時代的なものもあると思うが、一番の理由は監督の神代辰巳が日活ロマンポルノを手がけていた監督だからだろう。
神代辰巳が近親相姦の濡れ場を描きたいがために、無理やり盛り込まれた感じがどうしてもしてしまうが、メタファーなのか何なのか 説明の付けづらい、一時期の東海テレビ制作昼ドラの無理やり&つじつまの合わない展開による、独特で何とも言えない気持ち悪さ(いい意味で)を残すやり口は、昼ドラファンとしては、つっこみたくなりつつも楽しく観ることができた。
終わりかと思えば地獄の第2ラウンド開始
所々に地獄のシーンが映し出されるが、ドロドロ愛憎&復讐劇によって、この映画のタイトルをうっかり忘れてしまいそうになるが、アキが地獄におちてからは、正にタイトルの通り、地獄のシーンによる第2ラウンドが始まる
地獄に行くまでの過程が長いのは1960年版『地獄』でも同じだが、下界の地獄のような状況に苦しんでいたとしても、本当の地獄はそんなものではないというメッセージからだろう。
時代を感じさせるクオリティの閻魔大王や鬼たちが登場してきて、アキの母探し地獄旅が始まり、その道中で自分が不幸にした者たちと再開していくのだが、母との再会は更なる衝撃だった。
アキが迎える結末は、正直言って理解できない。ラストシーンは何を表しているのだろうか...意味があるのか、勢いだけで何となくあやふやな感じにしてしまったのか不明ではあるが、この何だか分からないラストも昼ドラにも通じるものがある。
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