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コラム:映画・ドラマ界の「ゾンビもの」のゾンビ化がコロナによって加速する!!

コラム:映画・ドラマ界の「ゾンビもの」のゾンビ化がコロナによって加速する!!

「ゾンビもの」がゾンビ化している理由

日本でも『ジャスティス・リーグ ザック・スナイダーカット』のリリースされ、話題が尽きないザック・スナイダーが監督したNetflixのゾンビ映画『アーミー・オブ・ザ・デッド』が2021年5月24日より配信開始となった。今後も前日譚となる『アーミー・オブ・シーヴス』やアニメシリーズの展開が計画されている。

今や「ゾンビもの」というジャンルは、ドラマや映画、ゲーム、コミックなど様々な媒体においてポピュラーな存在となった。

ゾンビを扱った作品としては1932年の『恐怖城 ホワイトゾンビ』から存在しているし、その後も数々のゾンビ映画は制作されてきたが、この時期のゾンビというのは、当時アメリカがハイチを占領していたことが背景にあり、そこで持ち帰った情報のブードゥー教による、死者を奴隷のように扱うというものであつて、ゾンビそのものが恐ろしい存在として描かれていたのではなく、ゾンピを操る魔術師や科学者といった人物を主体とした作品が多かった。

そんな中で攻撃的なゾンビのイメージを一般的に定着させたのは、やはりジョージ・A・ロメロによる『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(1968)『ゾンビ』(1978)の存在が大きい。

「ゾンビもの」というのは、比較的低予算で製作できるという点や80年代ホラーブームの追い風からも、量産されるようになっていったが、どうもワンパターンでしかない。

そこで『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』の続編的扱いでありながら、コメディ要素を取り入れた斬新な作品として『バタリアン』(1985)が公開された。

そんな『バタリアン』もシリーズ化され、結局はマンネリ化していってしまった。その後も、「マンネリ上等」と開き直ったように、大量に「ゾンビもの」は多く作り続けられた。

映画だけではなく、ゲームとしても『バイオハザード』や『ハウス・オブ・ザ・デッド』がヒットしたことや、リメイク&続編ブームでのホラーの再評価によって作り続けられ、中には『28日後…』(2002)や『REC/レック』(2007)といったスタイリッシュな作品も出てきたものの、シリーズ化によって劣化していってしまうことが多かった。

そんな中で大きな影響を与えたのは、2010年に放送開始したドラマ『ウォーキング・デッド』である。

『ウォーキング・デッド』という作品は、2003年に開始したグラフィック・ノベルが原作となっていることからも、ドラマが放送になる前から注目を集めていた作品ではあったのだが、『ウォーキング・デッド』の魅力は、単なる「ゾンビもの」ではなく、メインとなるのは、極限の状況下での人間の感情や行動の変化を徹底的に描いた点である。

今までにも、そういった路線を狙った作品というものはあったものの、どうしても映画の尺では描き切れず、ホラー色の方が強くなってした。ドラマシリーズという特性を活かした作風もヒットした要因であろう。

そんな『ウォーキング・デッド』も試行錯誤を繰り返し、スピンオフも作られ続けた結果、今ではマンネリ化してしまっている。

韓国では『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2016)や『王宮の夜鬼』(2019)、日本でも『カメラを止めるな!』(2018)や『君と世界が終わる日』(2020)となどが制作されており、「リング」や「呪怨」といった比較的、感覚的ホラーが多いアジア圏でも「ゾンビもの」が増え続けている状況である。

様々なアプローチで映画、ドラマ化し続けてきただけに、新しさを見出していくのは、難しいジャンルになっている。

正に「ゾンビもの」がゾンビ化している状態である。

ここにきて、新型コロナウイルスの感染拡大は、「ゾンビもの」のゾンビ化を加速させてしまうだろう。

「ゾンビもの」は常に世相を反映させたメタファーとして描かれることも多いため、新型コロナの感染者をゾンビと見立てた物語が急激に増えるだろうということと、世界的なロックダウンによって、「人がいなくなった町」のロケーション的融通が利くという点も大きい。

ジョージ・A・ロメロの『ゾンビ』(1978)も、70年代から急激に加速した大量消費社会の象徴のショッピングモール誕生によって、小売りやローカルビジネスが廃業に追い込まれ、チェーン店ばかりで個性がなくなってしまい、目的がなくても、なんとなくショッピングモールに人々が集まってくる状況を皮肉っていることもあって、常に政治や世相が反映されていたりもするのが「ゾンビもの」の特徴でもあるのだ。

ただでさえ「ゾンビもの」があふれている時代なだけに、今後どうなって行くのだろうかということを俯瞰で見る楽しみもあるのだが、そんな中でもがんばって新境地を開拓しようとした作品をいくつか紹介しておこう。

ちょっと違った「ゾンビもの」特集

〇『君と世界が終わる日に』(2020)

日本テレビとHulu共同制作の連続ドラマ。シーズン1は地上波で放送され、シーズン2以降はHuluで配信されている作品。シーズン1に関しては、比較的地上波のレーティングを意識しているようであったが、シーズン2に関しては、残虐なシーンが連続する。

これはシーズン1でも、多くの視聴者から指摘のあった点ではあるが、とにかく『ウォーキング・デッド』に似ていることだ。

シーズン2では、そんなことも1周回って、あえて狙ったかのような模倣シーンの連続で、ここまで開き直られると、観ている側も楽しくなってしまう。

ゾンビの世界で生き残るには、世相なんて考えていられないという、キャラクターの葛藤と製作サイドの試行錯誤が変にリンクしている様である。

シーズン3も決定しているだけに、今後どこまで行ってくれるかは気になるところだ。

〇『デイブレイク ~世界が終わったその先で~』(2019)

グラフィック・ノベルを原作としたNetflixで配信されている全10話のミニドラマシリーズ。

核爆発の影響で、大人だけがゾンビ化してしまった世界を描いていて、子供VS大人という構造の特殊な設定がおもしろい。

劇中でも主人公が「『グランド・セフト・オート』の様な世界になった」というセリフがあることや、ポケモンカードやNARUTOのフィギュアが所々に配置されていて、映画やゲーム、日本の文化、というか制作者の趣味思考が散りばめられている独特の世界観がクセになる。

ディズニー・チャンネルのドラマの様なテイストも兼ね備えていて、ティーン・ドラマ感があるものの、圧倒的に違うのは残酷な死に方を表に映し出していること。

物語自体はティーン・コメディのテイストを保っていながら、『ウォーキング・デッド』のように世界の終末感も持続している点では新感覚と言える作品だろう。

〇『CURED キュアード』(2017)

日本ではコロナ禍の中で公開された作品ではあるが、制作されたのは、新型コロナウイルスというワードが飛び交う前で、感染者差別がここまでリンクしてしまったのは凄い。

ゾンビ化していた人間が、ワクチンの開発によって、人間に戻ることができるようになった後の物語を描いた斬新な作品。

人を殺してしまったのは、自分の意志とは反してではあるが、元に戻った場合、その殺した記憶はちゃんとあるという状況、そのトラウマがPTSDのように常にかつての感染者を苦しめるのと同時に、世間からの非難の目や差別を受ける様子を徹底的に描いている。

「ゾンビもの」には、人間に戻れる方法を模索しているキャラクターが登場する作品は多数あるが、実際に戻れた場合のアフターケアを描いた作品というのは、あまり存在していない。

『ウォーム・ボディーズ』(2013)という、人間とゾンビが恋に落ちたことで、結果的に人間に戻る様子がハッピーエンドのように描かれてはいた作品もあったが、実は元に戻ったとしても…という問題もあることに気づかされた作品だった。

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