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”何かに依存する者”を描き続けるニック・ホーンビィの原作映画の魅力

”何かに依存する者”を描き続けるニック・ホーンビィの原作映画の魅力

現在日本で公開中のイーサン・ホーク、ローズ・バーン主演映画『15年後のラブソング』の原作者ニック・ホービィをご存知だろうか。

ニック・ホーンビィはイギリスの小説家であり、作品としては『ハイ・フェデリティ』『ぼくのプレミア・ライフ』などがあり、どの作品も共通して「何か」に依存している者が登場する。

『ハイ・フィデリティ』では、中古レコードショップ経営者の女性遍歴が描かれており、「レコード」と「元カノ」への依存。『ぼくのプレミア・ライフ』では「サッカー」に依存、アメリカ版リメイク映画『2番目のキス』では「野球」に依存する者の物語が描れていた。

依存のかたちも様々で、『アバウト・ア・ボーイ』では、父の印税で暮らす落ちぶれた男が描かれており、映画版ではヒュー・グラントが演じていたが、これも「印税」への依存である。

何かに依存する者の物語を描くにいたって、商業的に描いていているような薄っぺらい内容ではなく、扱われているものが「レコード」であれ、「映画」であれ、ディープなオタク知識が物語の基盤となっているのも特徴的であり、彼の作品が愛される理由である。

ドラマシリーズ『ビッグバン・セオリー』やケヴィン・スミスの『クラークス』『モール・ラッツ』などもオタクのたまり場的会話の延長線上のような話の広げ方としては通じるものがある。

映画制作者も言ってみれば、映画オタクであり、共感できる部分が心を打つという点でも彼の作品が多く映像化される理由ではないだろうか。

近年では、シアーシャ・ローナン主演の『ブルックリン』や『17歳の肖像』といった繊細な女性心を描いた作品の脚本も手掛けるようになり、マルチな才能をみせている。

『15年後のラブソング』では、『ハイ・フィデリティ』のような「ロックスター」に依存する男や『アバウト・ア・ボーイ』のような落ちぶれた男を巡る大人の恋愛映画であり、ニック・ホーンビィ作品の集大成ともいえるだろう。

その他にもゾーイ・クラヴィッツ主演で『ハイ・フィデリティ』がドラマシリーズとしてリメイクされるなど、今後の活躍にも期待したい作家のひとりである

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